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パラサイト 半地下の家族のBellenのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
3.7
●まず何よりも、非英語初のアカデミー賞作品賞を受賞(大快挙)したこの作品。ほぼ何の前知識もなく、英語字幕で観た。

●勝手な思い込みとして、「不平等を題材にしている社会派作品」というイメージを持っていたが、その期待は見事に裏切られた。エンタメ作品の領域。

●半地下に住む家族が、豪邸に住む超一流階級の家に入り込んでいく作品。その過程で、「おバカなお金持ち」と「知恵を使う貧乏家庭」というアイロニカルな対比が見えていく。

●登場人物が非常に少なく、主にヒューマンに焦点が当たっていたことや、その映画の独特なタッチ/秀逸なカメラワークから、かなり引き込まれていった。

●地下に眠る秘密。元々の家政婦等とこの貧乏家族の掛け合いがコミカルから暴力的に変わっていく。そもそも、地下空間の存在の説明で、北朝鮮という国をかなりコミカルに描いている点も、あえてシリアスに描いていない一貫した娯楽映画精神(それによる高い評価)があるのだろう。

●特に最後の方は、ホラーとも言える(といっても音楽効果等により、「恐」もありつつ、「狂」が近い)展開を見せていく。

●俳優たち一人一人がかなり個性を持っていた点は、登場人物が少ないからこそ、引き立っていた。

●さて、主題はなんだったのだろう。「苦しい中でも前向きに決して希望を失わない家族の力強さ(特に最終部分の父親の姿勢など)」なのか?(勝手ながら、)社会派作品として、何かしら社会のあるべき姿にメッセージ性があると思い込んでみたこちら側にも罪があるのだが、とにかく、2時間劇中に引き込まれるエンタメであることは間違いない。

P.S.
●誰かのコメントをみてなるほどと思ったのが、どのシーンも「階」(しかもタイトルにある半地下を含む3層)が意識されているという点。また、リッチ家族は些細なシーンでも自分たちより下は一切気にしていないという暗喩である、という点。
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