平野レミゼラブル

スマホ拾っただけなのにの平野レミゼラブルのレビュー・感想・評価

スマホ拾っただけなのに(2019年製作の映画)
3.7
タイトル見た時の「便乗タイトルもここまで来たか…」という脱力感が物凄い。そしてDVDパッケージに踊る『″それ″を拾ったら、終わり。』というこれまた便乗コピーで更に脱力。流行りに乗じた見てわかる地雷映画…

と思ったら普通に良い出来だったんでビックリな怪作である。いやマジで。

いや、あくまでインディーズ系の低予算映画であること、便乗タイトルに恥じぬパロディ作品であることは前提としてだが、それにしたって脚本が巧く出来ている。
あらすじには「映画オタクの若者3人が、田舎町で道に落ちているスマートフォンを拾った。(中略)怪しい老人たちからチェーンソーと鉈で襲われる。」とあり、後半のあまりの適当さから普通のスプラッター映画を撮っていたところに後から無理矢理スマホ要素を便乗して挿入したのではないかと邪推してしまう。しかし全然そんなことはなく、むしろスマホ1つに全ての伏線を詰めた上で回収していくスマートさには舌を巻いた。
というかこの映画、本当に影響を受けているのは落とした方じゃないんだよなァ……間違いなく「あの映画」リスペクトなんだけど、ただリスペクトするんじゃなくてちょっと捻りを入れるのとスマホオンリーの綺麗な伏線回収がオリジナリティに発展させている。

まあ流石にリスペクト元よりは拙さは目立つし、序盤の映画オタク3人の会話劇は等身大のオタクって感じが出ていて面白いものの良くも悪くもインディーズっぽさが前面に出てはいる。しかし、76分という短い尺であるということと、独自要素が優れていることから割と気軽にオススメできる佳作であることは間違いない。
何よりあの一大ムーヴメントの流れを汲んで面白い作品が産まれていること自体に喜びを感じる。
オススメ!!


やっぱり映画好きな人が映画が好きってことを全力で表現した作品っていうのは見てて気持ちがいいね。中元監督はこれから要チェックしていこう。