こぼちゃん

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 完全版のこぼちゃんのレビュー・感想・評価

4.5
監督 セルジオ・レオーネ、脚本 セルジオ・レオーネほか、ハリー・グレイの自伝的小説から監督がインスパイアされ、NYユダヤ系ギャングたちの思春期の友情や青春、青年期の栄華と恋、老年期の裏切りと懐古を描く。

ゴッドファーザーも、曲を聴くだけで故郷や若かりし日々を思い出しますが、この作品も音楽が美しく、エンニオ・モリコーネの楽曲は英国アカデミー賞の作曲賞を受賞。彼の曲じゃないけど、老年になり過去を懐古するシーンでYesardayが流れてました。

1920年代のニューヨーク。ユダヤ系移民の子、ヌードルス(スコット・ティラー)はある日、仲間たちと酔っ払いから財布を抜き取ろうとし、ブロンクスからやってきたマックス(ラスティ・ジェイコブズ)と出会い、やがて親友となる。ヌードルスは、舞台を目指すデボラ(ジェニファー・コネリー)と出会い一目惚れ。お互いにキスをしようとするが。

仲間の復讐で監獄にいたヌードルス(ロバート・デ・ニーロ)は、出所後、マックス(ジェームズ・ウッズ)たちと再会し、禁酒法時代、地下の酒場で大金を稼ぎ豪華な時間を楽しむ。初恋のデボラ(エリザベス・マクガヴァン)と再会するが、ギャングどうしの契約や裏切りに巻き込まれてしまう。そんな中、マックスの恋人から、マックスを救って欲しいと懇願されるが。

思春期の不良だけど、とても可愛らしい8-15才の子供たち。ケーキを持っていくと愛の時間をくれる娘との性の目覚め。当時のNYの雰囲気の中、貧しくても、活き活きとした友情と舞台を目指すデボラとの恋。

20代の禁酒法時代は、上流社会の酒場での栄華と、裏でのギャングと血の抗争が目を見張る。アル・カポネのようなマシンガンでの洗礼は迫力がある。出所時に売春婦を用意してくれる仲間、でも心はデボラに。

親友を裏切り、金も女も地位も奪い取った男は、汚職で追われ常に組合からも狙われていた。一方で全てを失った男もいる。それでも、アヘン屈での笑顔は、お詫びのお礼でコインロッカーに戻されたお金、そして、恐らくあの日の、同じ名前の息子の存在、夢を実現した初恋の人への変わらぬ愛。生活の為に愛人となっているが、本当に愛する人の名前を子供につけていた。

さらに、3時間半前後に、フラッシュ・バックしていたけど、人生で最も輝いていた時代、10代の時の色あせない友情と初恋の思い出を何度も、振り返り噛みしめていたんだと思う。

福祉の国スウェーデンの老人ホームでは、カラフルな部屋で、各入所者が最も好きな趣味や家族の写真で溢れ、飾り付けられている。人生嫌なことや幸せなことは、何度も思い出すが、老年になると嫌なことは忘れ、素敵な思い出しかない。脳が不幸な思い出は忘却の彼方に送り、幸せだけにするんですね。

夕方になると徘徊する人たちが増えるが、声をかけると、愛する夫や子供たちに夕食の準備をしていると言う。実は日本でも同じ質問をしましたが、同じでした。最も、輝いていた時代、愛の記憶が包んでくれる。
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