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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のbackpackerのレビュー・感想・評価

4.0
ウェス・アンダーソン監督の美意識と作家性が炸裂した、凝りに凝ったミラクル・ワールドの集大成。

絵本のような色彩と、バランスの取れた配置とシンメトリーの絵作りの美しさ。
完璧なタイミングで一糸乱れぬ動きを見せる、超絶統制の取れた演技の出演者たち。
そんなお馴染みの要素の中に、新たなメンバーや新しい作劇(雑誌の誌面を映画に脱構築)を取り入れ、細工は流々。後は仕上げをご覧じろう……と、出来上がりましたるは、やっぱりいつものウェス・アンダーソン監督丸出しな豪華絢爛なディナーショーなのでした。
いやー、出演者の豪華っぷりもいよいよある種の到達点を迎え、まさしく満漢全席ですね。
「本作パンフの出来が凄い」と聴いていたためワクワクして購入しましたが、読み物として本当に素晴らしい。映画パンフには珍しい一般的雑誌タイプの開き方ってのも洒落てます。

ウェス・アンダーソン監督の作風である、あってないようなストーリーが相変わらず炸裂しておりますが、各チャプター(巻頭レポート『自転車レポーター』、STORY1『確固たる(コンクリートの)名作』、STORY2『宣誓書の改訂』、STORY3【警察署長の食事室』)それぞれは独立した短編として完成していますので、オムニバスストーリーとしての見やすさがある分むしろ見やすい作風だったかもしれませんね。
個人的には、STORY3内にて登場するバンドデシネ風アニメーションがかなりお気に入りです。このアニメーション、劇中に登場するフレンチ・ディスパッチ表紙イラストを手がけたハビ・アスナレスさんの作ったものなんだとか。才能が溢れ出てる〜。
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