140字プロレス鶴見辰吾ジラ

ザ・バウンサーの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

ザ・バウンサー(2018年製作の映画)
3.8
【生きねば】

こんなヴァン・ダムが見たかったのか?こんなヴァン・ダムは見たくなかったのか?悲哀と疲労に満ちた顔が物語、日陰者の生存本能。成りを潜めた野獣と娘。ボディガードという日の目を見ない立場で娘の学校の授業料は未納。それでも娘と一緒にいるときの穏やかさの体温と、そのために立ち上がらなければなからないと強く内に秘めるMAD。ストーリーはアンチカタルシスへと追い込まれるが、序盤にあった生きることや娘のためにという想いが立ち上がらせ悲痛と悲壮に包まれた最後の善行が、寒空のした声にならない雄叫びとなって放たれる。ラストカットの切実なる後ろ姿の表現にヴァン・ダムの今を見て、彼の役者として彼としての重みを感じる。