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初恋のneroのレビュー・感想・評価

初恋(2020年製作の映画)
3.5
三池崇史が還ってきた! 
「殺し屋1」での吹っ切れっぷりが大好きだった自分としては、「やればできる子だったのね」と最近のヘタレぶりを許す気持ちになっている。(ナニ偉そうなんだか)

振り返ると「殺し屋1」でタイトルロールを演じたのは若き日の大森南朋だった。いま曲者としての存在感を全開に邦画界を席巻し、今作でも腐敗刑事の小物っぷりを存分に見せてくれる。

斜陽ヤクザに腐敗刑事と中華マフィアが絡んでのシャブ争奪戦と、それに巻き込まれた絶望ボクサーと底辺少女の交流。それだけだが、スラップスティックコメディテイストたっぷりで重たくならない見せ方は実に爽快。前評判通り染谷将太・ベッキーの怪演は確かに見ものだし、窪田正孝、内野”ケンジ”聖陽も、全員リミッター解除の熱量が伝わってくる。モニカの親父なんざ最高だ。
序盤こそ素人っぽかった小西桜子もどんどん存在感を増して曲者たちと渡り合うさまはお見事。なにより「初恋」というタイトルをつけたことに三池監督らしさをもっとも感じたと言ってもいい。

とはいうものの、あといくらあれば思う通りの映像が作れたんだろう。コミック実写なら金は出すがオリジナル企画ではムリという日本映画界の限界をモロに見せられたという思いが強い。これがNET○LIXか○mazonなら あんな”逃げ”は打たずに済んだろうに。(脳内ではターミネーターとかワイスピとかトランポとかのあーゆーシーンに変換して見てあげるのが優しさっちゅうもんかな)
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