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星屑の町のneroのレビュー・感想・評価

星屑の町(2020年製作の映画)
2.5
ムード歌謡グループという題材なんだから当然といえば当然なのだけれど、台詞の掛け合いや場面転換のカットワークに至るまで、舞台は現在なのに実に”昭和”なテンポの映画でありました。
原作舞台での時代設定はどうなっているんだろう? 普通にスマホとか出てくるのでちょっと混乱してしまう。素直に昭和末期のドラマにしたほうが良かったんじゃないのかなあ。映画としては、悪くはないけれどインパクトはいまひとつ。

キャストは舞台のオリジナルメンバーだけあって、ラサール石井・小宮孝泰のコント赤信号コンビはさすがの息の合い方だし、からむシニア役者陣もみなさんお見事。大平サブロー、でんでん、渡辺哲に有薗芳記と、皆キャラクター立ちまくりで、底辺芸人の悲哀がしみじみ伝わってくる。菅原大吉の屈折っぷりも説得力あった。個人的には戸田”カララ”恵子姐さんの佇まいがとても良かった。
劇中で若いのといえば、能年扮する歌手志望の愛と村の青年(小日向星一)の二人だけ。他のキャストとのギャップがスゴイ。まぁつくづく地味な画面ばっかり(笑)
能年玲奈はあまりにも”あまちゃん”まんまだったが(ファンではあるんだけどね)、田舎っぽくも強かなその存在感はすでに安定の域。でもこの路線で固定しないでほしいぞ。

愛の加入により脚光を浴びたハローナイツだったが、そのまま成功の道を一直線とはならずにドサ回りへと戻る一行。「まだもうちょっとはやれるんだ」と、リタイアしたロートル世代に少しだけど元気をくれるエンディングも悪くない。でもさぁ、ラストはタイトルロールの曲で締めるべきだったんじゃない? オリジナルが2曲だけとは寂しいね。

コロナ禍で劇場が営業休止・短縮と公開タイミングに恵まれなかったのは不運だった。
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