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扉の影に誰かいるのMOCOのレビュー・感想・評価

扉の影に誰かいる(1970年製作の映画)
3.5
「僕は有罪だ」
「そう、何も見ていなかった罪のね」

 仕事を最優先する男の完全犯罪は意外なかたちで・・・。

 精神科医のローレンス(アンソニー・パーキンス)は、勤務先の病院に連れてこられた男(ブロンソン)を偶然ロビーで見かけ自宅に連れ帰ります。
 病院には酔いが覚めた男を帰宅途中の駅に降ろすと偽り、男には病院の治療は部屋に閉じ込めるだけだから独り暮らしの家で診ますと話します。男は重度の記憶障害で病院に連れられる前に海岸で女が殺されていて、それが女房のような気がすると言うため、ローレンスは途中海岸に寄り新しい女性のパンプスを見つけるのですが、死体はありませんでした。
 ローレンスは男を一階の客室でくつろがせると二階の寝室にいる妻のフランシスのところに行きます。
 
 フランシスは実兄のところに泊まりに行く約束があり一階の男に気づくことなく家を出ていきました。
 フランシスはローレンスへの愛情をなくしジャーナリストのポール・ダミアンと浮気をしていてすでに本気になっているのです。この外泊もポールとの密会です。浮気に気がついているローレンスはフランシスとポールを引き離す計画を立てていました。そこに現れたのが記憶喪失の男なのです。

 ローレンスは巧みに男の記憶を操作しはじめ、海岸で殺された女性を男の奥さんのフランシスと思い込ませ、浮気相手のポールを殺人犯と思わせます。

 ローレンスは自宅に訪れた警察官から男は精神病院を抜け出し、海岸で強姦殺人をしていることを知ります。

 ローレンスは自宅にポールを呼びつけ自分は身を潜め、記憶を操作した男にポールを殺害させて、自らは何も手を下さない完全犯罪を実行します。ところが男はポールとの会話からフランシスが死んでいないことを知り、自宅前の車で待つフランシスを部屋に呼びつけると「この男は夫ではない」と言われてしまいます・・・。

1960年荒野の七人
1963年大脱走
1965年いそしぎ・バルジ大作戦
1968年さらば友よ・ウエスタン
1970年雨の訪問者・狼の挽歌・夜の訪問者 と、アメリカの一流俳優のチャールズ・ブロンソンをフランスが1971年にこんな使い方をするのか?といった不思議な作品です。
 何故か記憶喪失の名前も分からない強姦魔、スクリーンでは二人の女性の着衣を引き裂き・・・という役柄で、主演ではないのです。それも最初から最後まで記憶を取り戻すことなく終わるのです。
 しかし不安そうな表情や激昂するブロンソンは流石の演技です。タイトルから肉体派ブロンソンの凄いアクションを期待したのですが違っていました。 
 ローレンスの自宅で繰り広げられるこじんまりとした作品です、ストーリーは面白いのですが落ちが弱いところと盛り上がりが無いところがDVDが出回らない原因でしょうか、所有しているレンタルショップも稀で、なかなか観ることが出来ない映画です。
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