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フェイクのabeeのネタバレレビュー・内容・結末

フェイク(1997年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

【その師弟関係は真に偽りか】

大好きなアル・パチーノと苦手なジョニー・デップのダブル主演作品。

宝石商のドニー・ブラスコはとあるバーで1人で飲んでいたところ、マフィアの中堅、レフティに声をかけられ宝石の目利きを依頼される。それが「フェイク」であると指摘したドニーはレフティの信頼を得、マフィアの一員として迎えられる。しかし、ドニーの本当の名はジョー・ピストーネ。FBIの潜入捜査官でありマフィアとの繋がりを作るための必然の接触だった。

邦題が最高。
このタイトルをつけた方は作品の本質を良く見抜いていますね。
2人の出会いの会話を上手く引用し(英語のセリフでは性格には「fake」という単語は登場しませんが)、ドニー・ブラスコという人物とまがい物のダイヤを重ね合わせた見事な邦題です。

マフィアといえばアル・パチーノと言っていいほど数々の映画でマフィアを演じてきた彼ですが、この作品の役柄は歳は食っても下っ端から抜け出せない冴えないマフィア。
このレフティのキャラクターが最高で、アル・パチーノの魅力大爆発。可愛さが駄々漏れ。兄貴分であるにも関わらず子分に金を無心し、料理をしたら「塩を一掴み」。
マフィアとして夢を抱いても最終的には打ち砕かれる、その視線から滲み出る哀愁。一味違うアル・パチーノを見ることができます。

一方のジョニー・デップも、仕事を遂行する一方でレフティの人柄に触れ、FBIの任務に迷いを感じ始めるその様は見事。
マフィアの悪業に手を染め人の道を踏み外してなお、レフティとマフィアの道を歩もうと一度は決意するドニー。

これは間違いなくアル・パチーノとジョニー・デップの2人だからこその名作ですね。2人の演技が良すぎます。演技が映画自体の空気感を作りだしています。
ありがちではありますが、もちろん脚本自体が面白いと思います。
でも、この作品に関しては間違いなく2人の功績。

ということで、今回恐らく鑑賞は4回目ぐらいだったのですが、派手なアクション映画でも無いのに画力が強くて何回観ても心が震えます。
静かなのに、漂う哀しげな男臭さがたまらない。
しつこいようですが、名作です。
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