真っ黒こげ太郎

ディレイルド 脱線の真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

ディレイルド 脱線(2018年製作の映画)
2.6
怪物(クリーチャー)出現!

ヴァンダムさんは出ません。




ハロウィンの夜。
とある列車内で開催される豪華ディナーと推理ゲームと役者の演技が味わえるイベント「殺人ミステリー急行」。

列車が出発し、早速イベントが始まる…と思いきや、司会進行役の男が本当に殺されてしまう!!!
演劇のはずの殺人ミステリーイベントで、本物の殺人が発生したのだ!!!

しかもその直後、とある男が強盗犯を名乗り、銃を突き付けて乗客から金品を巻き上げようとする!!
強盗犯の仲間だった女も本性を現し、列車内はあっという間に占領されてしまう。

だが、機関士2人が抵抗を試み、強盗犯を倒すも2人とも銃弾に倒れる。
そのまま列車が暴走し、曲がる筈のレーンで脱線して谷底の湖に転落してしまう。

生き残った人々はどうにかして脱出しようとするが、謎のモンスターが彼らを狙っていた!!!




列車が脱線し転落した先の湖で、謎のモンスターに襲われる、モンスターパニック映画。

本作は、あのZ級映画配給メーカーのトランスワールドアソシエイツさん(通称TWA)の配給作です。
どう考えてもアレな映画である事は間違いないのですが、行きつけのレビューサイトでレビューされてるのを見て興味が湧いてしまい、つい見てしもうた。w
(因みに「GYAO!」で無料配信してるのを見ました。)
あ、後グロいシーンもあると聞いて(結局いつも通りの動機)。



前半、列車内で殺院事件が起こり強盗犯に占拠されて脱線するまでの件は割と…ってかかなりテンポがいい。
殺人事件発生から、すぐさま強盗犯が正体を現して、そのままアッサリ列車を占領した、と思ったら機関士がすぐさま抵抗して全員道連れになり、そのまま列車が暴走して脱線!という展開が異様なまでにスピーディに展開!!!
どれか一つでも十分大作のネタになりそうなのに、物凄い勢いで進行します。w
まぁTWA配給の映画だから列車内はセット丸出しのチープなシロモノだが、ここまでは意外と引き込まれ、モンスターが出た後の展開にも期待した。


そして後半からは、生き残った人たちがモンスターに襲われ食われまくるまぁ想像通りの展開が待ってる。
モンスターは半魚人とエイリアンを組み合わせたみたいなヤツで、CGではなくアナログな全身スーツの着ぐるみ姿だけど、造形がB級映画のモンスターって感じがして良い。
殺し方は基本水の中に引き込むだけだが、2人程スプラッターな殺し方で殺ってくれるのが嬉しい。w


…んだけど、後半は泳いでいけばアッサリ陸地に辿り着けるのに、何故か陸地に中々行かない所為で犠牲者が出たり、モンスターに捕まれたのにアッサリ脱出出来たり(その後アッサリ喰われるw)、陸地に出たんだからそのまま歩いて逃げればいいのに、なぜか屋敷に入って無駄に犠牲者が出たりと、話の展開がガバりだす。

その上、モンスターの襲撃パートもアッサリ終わってしまい、登場人物も何かよく分かんない会話を繰り広げたりしてそのまま怪物の前に行ってアッサリ死んだり、挙句の果てに最後の一人が目を覚まして建物から逃げ出して徒歩で別の駅にたどり着いたりする。(最初からそうしろよ!)
そもそもモンスターに喰われる描写もあんまり描いておらず、モンスターの暴れっぷりが少なくて不満まみれ。

しかも生き残りの一人が救助されたのにまだ10分も尺が残っており(全体の尺は80分ピッタリ)、「これどうすんだ?」と思ったら最後最後で全ての真実が明かされる…。

のだが、正直言って思わず「何だそれ!?」と言いたくなる真相!!!
正直言って、何でこんな真相を描いちゃったんだよ!?


恐らく制作陣的には「ただのモンスター映画にしないぜ!」という意気込みと哲学的な現れだったのかもしれないが、この釈然としないオチの所為で一気にダメな部類の映画になってしもうた。
制作陣としては狙って作ったオチなんだろうけど「これならただのモンスターパニック映画で良かったのに…」と思わざるを得ない。



そんなこんなで、前半のお膳立てや、モンスターのデザインや殺しっぷりは良かったのに、後半のガバガバっぷりや蛇足なオチの所為で何と言うか、台無しになってしまった。

こんなモンスターパニックの映画に気取ったオチなんぞ要らないんだよ!!!
「あなたの知らない世界」へ突入する展開なんざ見たくないんだよ!!!
単純にモンスターがスプラッターに餌枠を喰ってゆくのとか、生き残りがモンスターを倒して(爆発オチとかで)爽やかに終わる娯楽作が見たいんだよ!!!


モンスターの見応えはあっただけに、何とも勿体ない作品。
尺は80分しかないし、テンポも悪くない(特に前半)のでサラっと気軽には見れるのだが、単純にモンスターパニック好きな人が見たらガッカリすると思う。

楽しめる箇所はあったけど、結局何時ものトランスワールドアソシエイツ配給で片付いてしまう本作なのであった。
(しかしTWA配給の中では、まだ本作はまともな部類なのが恐ろしい。)