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ハスラーズのneroのレビュー・感想・評価

ハスラーズ(2019年製作の映画)
3.5
ジェニファー・ロペスの存在感に圧倒される。50歳?嘘だろ?!

高校すら出ていない底辺の女達が男どもをカモにふんだくりまくるクライムストーリーだが、現代アメリカの格差社会感描写も半端ない。
2007年のNY、ストリップクラブに職を得たものの稼げず焦るドロシーはカリスマストリッパー・ラモーナと出会い、ディスティニーとして夜の世界で稼ぎ始める。景気もよく稼ぎも上々。できた余裕で高校卒業資格を取るも就職面接で落とされるドロシーの落胆にシンパシーを感じる。映画の舞台から12年の今、格差感は増大しているのではないか。

男ともうまく行かず、娘と祖母を抱えて古巣に戻ったドロシーはラモーナと手を組んで荒稼ぎを始める。リーマンショックを期に景気が急降下したため、メンバーを募りより直接的な”ハント”へとシフト。単なる逆ナンパから薬剤使用まではまもなくだった。やがて店からも排除され、カード詐欺グループへと変貌していく女達。恐慌に右往左往する男どもを必要以上に描かないあたりが女性からの視点を強く感じさせる。知ったこっちゃないのだ。
虚しくも楽しい女達だけの馬鹿騒ぎが続く。そしてカモがカモでなくなるときが来る。立ち止まるドロシーと突っ走るラモーナとのコントラストが効いていた。

当然彼女たちの先に待つのは破局。逮捕され収監されたラモーナがドロシーに声をかける、「私達、最強だったよね」 この最後の一言で最高のガールズムービーに昇華された。あまり評判にはなっていないようだが佳作だと思う。

ところでこのセリフは何かのバディもので覚えがある。「俺たち最強だったよな」で検索してみると、「トランスフォーマー・ダークサイドムーン」がヒットした(笑) まだ他にあるような気がするんだけど・・・

元になったのがルポルタージュ記事だからなのか、記者によるインタビューという体で現在のドロシーに過去を語らせるという形式をとっている。狙いはわからなくもないが、記者の存在は当事者である二人の関係性にフォーカスするにはノイズでしかなかったと思う。振り返り構成ならドロシー当人のモノローグだけでいいんじゃないかなあ。
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