「ドレフュス事件」
教科書にも載っている。
1894年フランス。ユダヤ人の陸軍大尉ドレフュスが、ドイツに軍事機密を流したスパイ容疑で終身刑を言い渡される。
ドレフュス事件は歴史の分岐点だったように言われている。何故ドレフュスはその後、無罪になったにもかかわらず、ユダヤ人排斥が社会に蔓延して行ったのか。どうしても解せなかった。
この映画でほんのほんの少しだけ理解した。
地中に眠っていたマグマが、あるきっかけで吹き出すように、潜在的に反ユダヤが地中でくすぶっていたということなのか。
ユダヤ人排斥はドイツだけじゃなく、ヨーロッパ全体の問題だったんだろうな。
それにしても不条理な事件だ。
世の中にはこんな事が蔓延している。現代でもそれは変わらない。
軍部の陰謀や腐敗。
一度有罪にした事件を覆すことなど、体面が許さない。
真犯人が他にいることに気がついたジャン・デュジャルダンが演じるピカール中佐は、大きな組織のうねりの中にのまれそうになりながらも、冷遇されようが、拘留されようが信念を貫いた。
ただ、彼もユダヤ人を快く思っていなかったり、不倫をしていたりと、聖人君子ではなかったようだが。
映像の美しさにも目を引く。
冒頭の広場でのシーンの構図、キャバレーのレトロ感、それとこの時代にもあったのかと思わせる決闘シーン。
でも、何よりも目を引いたのは、とてもお洒落な軍服。フランスらしい色使いがとても素敵だった。