ラウぺ

バウハウスの女性たちのラウぺのレビュー・感想・評価

バウハウスの女性たち(2019年製作の映画)
3.8
世界でも例を見ない先進的芸術学校であったバウハウスでは学生の半数から1/3が女性だったが、その活躍の道は現代のレベルからは遠く及ばないほど限られたものであったことを描くドキュメンタリー。
バウハウス100年映画祭「プログラムB」

画期的な理念のもとにバウハウスを創設したグロピウスでしたが、その女性に対する考え方は驚くほど守旧的、いや、もはやミソジニーというべきレベルで、女子学生の増加は学校の価値に影響するとまで考えていたことは驚愕すべき事実。

本作に登場する6人の女子学生の活動とその後については、第二次大戦前後という比較的遠くない過去でさえも、女性の実力が認められ、活躍の場が与えられることがどれほど難しいか、具体的事例として紹介されていきます。

静岡県立美術館での「きたれ、バウハウス!」展でもアルマ・ジートホフ=ブッシャーの子供部屋用家具の復元模型が展示されていましたが、現代においてもそのまま通用している実績を残していながら、表舞台に登場してこない彼女たちの運命は、在学時から既に決定づけられていたことは記憶に留めておく必要があるでしょう。
あるジャンルで神格化と言ってもよい評価を獲得していても、別の面ではその限界を露呈する、歴史的な側面を考慮するとしても、物事は他方面からの評価によって絶対的なものではありえない、という事実を知るうえでも、価値のある一作だと思います。
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