ねこ無双

呪いの館のねこ無双のレビュー・感想・評価

呪いの館(1966年製作の映画)
4.0
不定期更新、イタリアホラーの父、マリオ・バーヴァ祭り⑧

怪奇幻想ムードに包まれたゴシックホラー。
絶叫から始まる不気味なオープニング。
自らの意思に反して惨劇に遭う女性。
不気味なホラースコアに、子供の笑い声が重なり…kill baby killとタイトルどん。
邪悪な訪れ。

村の女性が死んだ。
司法解剖のために村へやってきた医師だったが、村人にはどうやら歓迎されてない様子。
村人たちはみな怯えていて、誰一人として詳細を語ろうとしない。
みな村の洋館に潜む何かを恐れていた。
死に包まれたグラブス邸、
時折窓を覗く白い服の少女。笑い声。

そして、出たー!
白い手毬を持つ白いドレスの少女、メリッサ。いるだけで邪悪さが滲み出てます。

医師と、村に帰郷していた女性が共に事件の謎を追います。この二人の捜査とは別に、村の祈祷師でもある美女が事件の核心に迫っていきます。
次々起こる怪死事件。
洋館に棲む老婦人。
幼くして死んだ老婦人の娘。

舞台となっている村が、一度取り込まれたら抜け出せないような不思議な空間世界に感じます。
石廊のような通路が至るところにあって、ある映画の舞台ともなった城塞都市らしい。
洋館や墓地、鐘の音など古めかしく、村を忌んで村人以外誰も近寄ろうとしない閉鎖的な雰囲気。

映像も幻想的で美しいです。
自分自身をエンドレスで追いかけるループ世界。
真上からの螺旋階段ショット。
回転するカメラ。
轟音と静寂。
歪む鏡。首だけの人形。
やはりここでも青や緑の色彩マジック。

沢山のフォロワーを生んだ映画であり、今なお禍々しさに満ちた映画。
ギレルモ・デル・トロ、デヴィッド・リンチ、フェデリコ・フェリーニら錚々たる監督たちがオマージュしたシーンが、この映画には秘められている。

主人公の医師は『ナイブス・オブ・ジ・アベンジャー』の王ハラール役をされてたジャコモ・ロッシ=スチュアート。
村へ舞い戻ってくるヒロインはエリカ・ブラン。この後レビュー予定の『淫虐地獄』主演さま。
でもエリカ・ブランよりも祈祷師を演じるファビエンヌ・ダリの方が好みの美しさ。
凛々しいです。

でも、以前はバーヴァ映画群では今作が断トツの1位だったのに、今の気分では『処刑男爵』が1位な気分の自分に驚いてます。

ーーー🐈
今作のちょこっと猫シーン
石窟の遠く向こうをダミ声で駆け抜ける猫