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恐竜が教えてくれたことのkuuのレビュー・感想・評価

恐竜が教えてくれたこと(2019年製作の映画)
3.9
『恐竜が教えてくれたこと』
原題 Mijn bijzonder rare week met Tess.
映倫区分 G.
製作年 2019年。上映時間 84分。

美しいオランダの島を舞台に、少年と少女が繰り広げる秘密の計画を、みずみずしく描いた青春ドラマ。
原作は、第61回青少年読書感想文全国コンクールの小学校高学年向け課題図書にも指定された、アンナ・ウォルツによる児童文学『ぼくとテスの秘密の七日間』(My Extraordinary Summer with Tess)。

11歳のサムは、この世の全ての生き物がいつか死を迎えると気づいた時に『地球最後の恐竜は、自分が最後だということを知っていたのか』と思い悩むような、哲学的な少年やった。
そんなサムが、家族で過ごす夏のバカンスのため、都会の喧騒から離れたオランダ北部の島にやってくる。
そこでテスという少女と出会ったサムは、彼女の快活な魅力にひかれていく。
テスは母親とふたり暮らしで、12年間生き別れたままの父親がいるという。
テスが抱く父親に対する思いを知ったサムは、彼女が父親に会うために考えた、ある作戦に協力することになるが。。。

青春映画は稀有になりつつあるかな。
中でも、優れた作品はさらに稀少。
今作品は、古典と並ぶに相応しいほぼ完璧なC級映画(チョイ今作品に明確な定義なんか存在しないC級映画は語弊があるかもしれないが)の善き作品でした。
根源的に、オランダの島周辺の風景がこないに素晴らしいなんて予想以上やった。
フリースラント州の島々は名は知ってても、どないなところなんやろとずっと思っていたが、今なら多少わかるかな(映画で分かった気がします)。
ほぼ何もない白砂のビーチが何キロも続くが、干潮時には泥の流砂になるので要注意。 
さらに、個人的に灯台は重要な登場物になりました。
11歳のジョセフィン・アレンデッセンが演じるテスは、軽快に気分を切り替えていきました。
昨今の青春映画の多くとは異なり、彼女はリアル感があった。
愛らしくもなく、女性らしくもなく、可愛くもなく、オタクでもなく、ただただリアルな人間として伝わってくる。
結構、印象に残ったんは、彼女に恋した少年サムに、父ちゃん探しを記録した日記を見せるところで、サムは、テスの捜索に同行しながら、テスとの関係が頭の中で反復し、島を彷徨いながら、一人になるための訓練をする。
いつか起こりうる孤独に慣れる訓練を日々くり返すより、為すべきことは別にあるって教え。
青少年の胸に刻み付けるべき大切な事が沢山あるやろけど、原作文学小説も、タイトルバックで題名の文字に並べてたこの映画化作品も、それぞれの役割を責務を果たしたと云っても過言じゃないかな。
そないな意味合いで青春映画としては善き善き作品やと思いました。
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