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リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズのalmosteverydayのレビュー・感想・評価

3.0
うーん、圧倒的カタルシス不足。

ノエルとの断絶からビーディ・アイの一部始終、家庭内のゴタゴタを経てソロ活動で第一線に返り咲くまでをみっちり追ってる、それは分かる。分かるんだけど、どこを盛り上げて何を見せつけたいのか、そのポイントがことごとくぼやけていると感じました。少なくとも、オーディエンス目線で「見たいものを見せてもらえた」という満足感からは程遠い出来栄えと言わざるを得ません。

まず、なんて言うかこう、作品全体を覆うムードが終始重苦しいんですよね。具体的に言うと、劇伴がずっと不穏。リアムのソロにそういう曲がない、と言ってしまえばそれまでなのかもしれないけれど、だからって何もあんなプロフェッショナル仕事の流儀みたいな演出じゃなくたって良くない…?UKならBBCのドキュメンタリー?せっかく世界最高峰のボーカリストを撮ってるのに、その歌声を存分に聴かせてもらえないイケズぶりには首を傾げるより他にありませんでした。本作の製作にあたり「テロ被害を受けた地元マンチェスターへのチャリティだろうがコールドプレイとのサプライズだろうが、ノエルの曲は絶対に流すべからず」みたいな念書でも書かされたんでしょうか。アビイロードでのレコーディング場面での女声アリア?みたいなアレもさっぱり意味がわかんなかったです。すごい不自然。

唯一の救いは日本語字幕がよくありがちな外タレインタビュー口調ではなく、ごく日常的かつ2000年代以降らしい自然な話し言葉に訳されていたことでしょうか。元RO粉川しの氏の監修とくれば、そこら辺はお手のものかもしれませんね。それにしてもああ、公式にはリアムが全部で何回ファッキン言ったか数えて教えてほしいです。冒頭の数分だけでも7〜8回は言ってたと思う。
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