140字プロレス鶴見辰吾ジラ

失くした体の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

失くした体(2019年製作の映画)
4.0
【失ったのは…】

冒頭を見れば主人公が切断された手であると宣言される奇妙な物語。回想シーンが挿入されミステリアスに、手が待ちを彷徨う様はスリリングに描かれる。印象的な音楽と何をしてもダメな回想シーンの主人公と恋心。彼は明らかに病気の域で注意欠陥、過集中と世界が彼を拒む様を見せつけられる。たった一度のインターホン越しの出逢いが回想されてかは、この手の物語は亡霊の話なのかと思わされるが、徐々に真相へと時間軸が追いついていく。過去と現在、さらに子供時代の過去。失ったのは“手“なのだろうか?冒頭から一貫する不意を突くという主題が作品の内外で鼓動する。このささやかな結末に何を思うのか?真相を知らせることで救済となるのか?手のゆくえは誰も知らない。