このレビューはネタバレを含みます
脳みそがポコチンにあるような男サンドロが、恋人のアンナが失踪してその友達クラウディアを落とすお話。地理がよく分からずに混乱してしまった箇所も。
このサンドロ、マストロヤンニみたいな色男だったらすんなり観れたかもと思う反面、こういう梅宮辰つぁんみたいな野暮ったくて粘っこくてギトギトした分厚い不快なオッサンの方が無茶苦茶に脚本に合っててリアリティ凄いと感じたり。クラウディアの表情も素晴らしい。
前半のエオリエ群島の景観が凄まじく、それをとことん活かしたようなカメラワークが素晴らしかったです。後半に入っても、特に人物のアップのときの余白を活かしたような、不安感を醸成するような構図がとても美しかったです。
徐々にアンナの失踪も忘れていく二人。失踪を不在とすれば、なるほどたまにあるよねという程度の話ですが、そこを芸術的な域に仕上げていくさまが凄い。
男たちからの注目を浴びるクラウディアは解釈が分かれそう。娼婦と寝てるシーンは無理あるんですが、象徴性が演出されていてさほどの違和感もなく。セックスシーンで脱ぐ必要なんかないんだ。
最後の涙も、さすがヤリチンサンドロ、どう考えても涙絞り出した渾身のウソ泣きでクラウディアの同情を誘う…ようにしか私には見えない。
劇中に言及があったように、間抜けなメロドラマではありながらも、それを最大限に活かした演出で、コトの顛末を上手く描いた名作でした。