バルバワ

雨月物語のバルバワのレビュー・感想・評価

雨月物語(1953年製作の映画)
4.3
<バルバワのシネフィルに憧れて>
私は隠れシネシタンという一面の他にシネフィルに憧れているという一面があります。←知らない
「これがアリ・アスター監督に影響を与えた映画さ」だの「70年前の映画も観てみるといいよ?」だの紅茶を啜りながら優雅に語りたいじゃあないですか!
今回そんな私が鑑賞した映画は『雨月物語』だぁぁぁ!ビシッ( '口')Б

いやぁ…こいつぁ正真正銘のホラーだぜッ!ウホーイ(゜▽゜*三 ゜▽゜*)←優雅さ0

あらすじは貧しい農民の源十郎と藤兵衛は戦によって賑わう町に一儲けしよう繰り出すが、どんどん自分の欲望に溺れていく…。的な感じです!

【昔の映画なのに非常に観やすい】
約70年前の白黒映画って聞くと身構えてしまいがちですが、観ている間にどんどん引き込まれてしまうことが多々あります。今作もそうでした、とにかくテンポが良く、ストーリーが整理整頓され、主要人物から脇の脇役まで役者さんの台詞が聞きやすくてノンストレスで観ることができました。

【魔が差しやすい世の中】
今作の舞台は戦国時代真っ只中で、命の価値が恐ろしく軽く、特に農民は暴力に晒されやすい世の中で至るところに暴力が渦巻いていました。主人公の源十郎と藤兵衛はそんなうだつの上がらない地位からの脱却の為に戦によって賑わう町に繰り出し商いに身を捧げ、ある程度の成果を上げます。そこで終いにすれば良かったのに調子に乗って欲望に身を預け、家族を危険に晒してしまうのですよ…二人とも善良な男なのに何故こうなるのか、それは世の中がまともじゃないからではないでしょうか。これは今の日本にも言えますね、コロナの恐怖や不安に駈られて自分勝手な行動をし、他人を傷つけるニュースを聞かない日がありませんもの。こういう時に魔が心に入り込むのですよ。

【人の底すらない浅ましさ】
また、今作に思慮深い人物は一握りであとは自分の欲望に脳ミソをジャックされたような連中ばかりで目先の快楽と利益に飛び付く有り様。
映画評論家の荻昌弘先生の『ロッキー』の解説した時の台詞を引用させていただくなら「これは人生"する"か"しない"かの別れ道に"する"という方を選んだ愚かなる人々の物語です!」といった感じで、ロッキーは自分の尊厳の為に"する"を選び人間として更正していったのに対し、源十郎をはじめとする今作の連中は金や性欲の為に"する"を選んだことにより人間として堕落していくと考えるとめちゃめちゃ味わい深いです。

【マジ怖】
今作はジャンル映画としての面白さも担保されています。あの屋敷の話はだいたいオチはわかってるはずなのに普通に怖かったです…なんだろう、役者や作り手の鬼気迫る念が伝わってくる感じがしました。あとオチのあとあの屋敷で起こっていたことを想像するとサイコホラー味も出てきます。観終わったあと冷蔵庫の"ブォォォン"という音にビビってしまいましたよ…。

【最後に】
とにかく人間の浅ましさをじっくり観れて、ホラー展開も満載というめっちゃ面白い映画でした!
まぁ、欲を言うならもっと救いがなくても良かったなぁと思ったり…おっと欲を言ってしまいましたね、身を滅ぼすわーチャンチャン( ´∀`)
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