たにたに

ようこそ映画音響の世界へのたにたにのレビュー・感想・評価

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)
4.0
【映画の命】2022年173本目

2022年最後の投稿。
目標本数には届かずでしたが、今年も素晴らしき出会いに感謝。
本年最後は映画の歴史に触れます。


◉スピルバーグ
スピルバーグは、物語に命を与えるのは"音"だと信じてきた。
プライベートライアンでは、トムハンクスの主観に没入できるように音が効果的に使われた。映像に映らない遠くで聞こえる爆撃音。そして、あえて無音にするという音の使い方もある。

◉映画音響には3種ある。
音楽/人の声/効果音

◉音の歴史
1877年、エジソンが蓄音機を発明。
彼は映画用カメラの発明に注力した。
まず音の記録に成功したが、映像と音の同時再生は困難であった。
当時の映画は音楽をオーケストラが演奏し、スクリーンの裏で声や効果音を生で当てた。

1927年、初のトーキー映画「ジャズシンガー」が登場。この画期的な映画により、トーキーは大盛況を収めた。

しかし、欲しい音が現場で得られるかはまた別の話。そこで音響編集が誕生。
1933年、その先駆けが「キングコング」だ。架空の生き物は、ライオンの鳴き声の逆再生なのである。
しかし、その努力はまだ認められない。各スタジオには音響のストックがあり、予算の関係から様々な映画で使い回しされた。

1941年、ラジオドラマが誕生。その技術は「市民ケーン」に取り入れられ、空間的な音は想像性を膨らませた。

1960年はテレビの時代に。ニュースで映し出される臨場感。ビートルズの人気。
ハリウッドは勢いを失った。

◉ウォルター・マーチ
フランシス・F・コッポラ、ジョージルーカス、そして音響デザイナーのウォルター・マーチという才能ある若かりし20代の三人がゾエトロープ社を設立。
初めこそ波に乗れなかったが、「ゴッドファーザー」は大きな成功を収めた。

◉ステレオ技術
1950年代後半にステレオ技術が生まれ、70年代ドルビーが映画業界に参入した。
1976年、「スター誕生」でステレオ技術が取り入れられ大成功。音が人々を包み込んだ。

◉ベン・バート
コッポラとウォルターが忙しくする中、ジョージはベンを音響デザイナーに迎え新作に取り掛かる。「スターウォーズ」だ。
まずベンが取り掛かったのがウーキーの鳴き声。彼は音を探す旅に出た。鳴き声とは言えども、それは"言語"でなければならない。彼はR2-D2という口のないロボットにまで言葉を与え、みごとアカデミー賞を受賞した。

◉地獄の黙示録
冨田勲の「惑星」技術により、音はサラウンドになり、映画にも取り入れようとした。
この映画は音を担当制にした。
絶妙な音声トラックの編集は音の偉大さ明らかにした。

◉ゲイリー・ライドストローム
視覚的なアニメーションにも音は重要な意味を持った。1986年ピクサーの誕生。
ゲイリーは今ではお馴染みのライトのキャラクターの声を作った。
その後「ジュラシックパーク」で恐竜の声を作り、ピクサー初の長編「トイストーリー」で音響として貢献した。アニメーション用に新しいソフトが開発され、音はコンピュータで作る時代に突入。

◉ディーン・デイヴィス
1999年「マトリックス」
デジタル世界にデジタル音は良い影響を与えた。



今や、音は映画に欠かせないものである。
そこから得る情報は我々に想像を掻き立ててくれる。
今後から映画を見る時に音の影響に気づければ、さらに感性を深められ、その素晴らしさに歓喜できるかと思うと、映画が好きであることを誇りに思わせられるのである。
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