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運命じゃない人のminorufukuのレビュー・感想・評価

運命じゃない人(2004年製作の映画)
3.9
彼女に逃げられたサラリーマンが、探偵の友人に呼び出されたレストランで、婚約者と別れて傷心にひたる女性と出会う。行き場がないという彼女をサラリーマンは自宅に誘うのだが…という話。

掘り出し物!
地味目な題材で、いかにも低予算で、出演者も有名どころはぼぼ出ていないのにこれだけ面白いのは稀。
同監督作で大泉洋主演の「アフタースクール」を観たことがあるが、そちらと同じく本作も脚本練り具合が半端なく、構成の上手さで観客を楽しませている。

サラリーマンのロマンティックな出会いの話を、時系列を戻して複数の登場人物の視点で見せることで隠された様々な秘密が判明していく。電話を上手く使っていて、一巡目のストーリーで何気無い会話だったものが、受話器の向こうの人間の視点に切り替わった二巡目以降で違う事実や隠された感情が見えてきて驚かされる。登場人物も魅力的で、基本悪人も出てこないし、全員が幸せでも不幸でもない結着で終わるのでストレスもない。お話としての完成度も高い。
ラストは好みにもよるけど、もっと分かりやすいハッピーエンドでも良かったかとも思ったが、終劇後に起こるであろうコミカルなやりとりを想像する余地を残したのは上手いと思う。

サラリーマンの住むマンションのセキュリティ弱すぎだろうとは思ったけどね。
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