たにたに

エルヴィスのたにたにのネタバレレビュー・内容・結末

エルヴィス(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

【明日への願い】2023年78本目

伝説のソロアーティスト、エルヴィスの伝記映画。

彼のプロデューサーだったパーカー大佐(トムハンクス)が歳をとり、床に伏せ、晩年スロットで財産をつぎこんだというシーンから始まります。
エルヴィスという男の人生を物語るには、彼の存在が必要不可欠だ。パーカーがエルヴィスを見初め、スターにのし上げた事は事実でしょう。

しかし、名プロデューサーとして名を馳せたパーカーには実は裏の顔があり、エルヴィスとの考え方の違いなども重なって次第に関係性が悪化していきます。


これを見ると、エルヴィスが華やかな世界に生き、富も名声も全て手に入れた幸せな男であったとは口が裂けても言えないでしょう。

ミシシッピ州で貧乏だった幼少期。
黒人コミュニティの中で育った彼が、黒人音楽に出会い、白人でありながらもその魂に魅了された。
キング牧師やケネディ暗殺の年を経て、黒人差別が根深い時代を乗り越えてきた彼は、"白人だから"とか"腰振りダンスへの批判"という世の中へ忖度に真っ向から対立し、自分のやりたい音楽をぶつけていったのです。
なぜ人々は分断してしまうのか。
その悲しみに音楽で立ち向かってきた。

しかし、
エルヴィスの結末は非常に暗いものでした。
殺人予告や薬物との闘い。
やりたいことをもっと目一杯やり遂げて欲しかった。

ロックンロールの立役者。ここに歴史の転換機が見られるのです。
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