このレビューはネタバレを含みます
記録
デイミアン・チャゼルの最新作にして192〜30年代のハリウッドを描いた作品。
監督がチャゼルなので期待して鑑賞したが、これは予想に外れ駄目だった。
チャゼル流に解釈をしているものの本作はときめくものが無かった。
本作を鑑賞している時に首を傾げながら観ていたが、私ですら呆れ顔になった決定的なシーンはそれは有色人種が黒塗り=ジム・クロウ法とミンストレル・ショーに反していたからだ。その場面で私は評価出来なくなってしまった。この場面は本作に登場するアル・ジョルスン主演映画『ジャズ・シンガー』を引用していると思われるが、私としては悪意のある差別的表現だと少し怒りが込み上げてしまった程だった。ジム・クロウ法やそしてミンストレル・ショーは元々白人が黒塗りをして演奏や公演をするという行為だが、これは米国ではタブーとされており、差別的な意味でもある。それも本作はその有色人種(黒人)が黒塗りをしているのだから流石にこれ不味い表現である。黒人自身が黒塗りをしていたのは南北戦争後にあったと証明されているが、舞台は1920年代なのだから映画史並び歴史のとんでもない改変である。本作を観に行った有色人種たちはどういう気持ちで観ていたのか気になる一方だった。
因みに初トーキー作品『ジャズ・シンガー』もアル・ジョルスンがミンストレル・ショーを行う作品なので、これも映画史として鑑賞するのもオススメである。
本作に登場する登場人物たちには実際のモデルが何人かはいるかもしれないが、但しもう少し丁寧に作ってほしかったと感じ取った。
また終盤が結構グダグダになってしまったのは否めなく、主役キャラクターも数人ではなく一人に絞った方が良かったかもしれない。
良い所だとマーゴット・ロビーのエロさと本作の音楽、美術は良かった。
今回のアカデミー賞では作曲賞と美術賞は予想だが、獲得出来るのでないかと確信している。
デイミアン・チャゼルは『セッション』『LA LA LAND』『ファースト・マン』は好きだったが、これは色々なものが盛り込ませ過ぎてしまい3時間という長時間に別にしなくても良かった気がするが…
最新作は本作の反省点を踏まえて製作してほしい。
あと汚物もあるので、それだけはご注意を!