サラリーマン岡崎

プロミシング・ヤング・ウーマンのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

4.6
「隠される」ことの怖さ、
それがかなり感じる作品だった。

主人公が男たちをどう懲らしめるかは映されない。
そして、主人公の人生が変えられてしまう事件も実際のシーンは出てこない。

隠されるからこそ、想像をしてしまい、
よりその怖さが倍増する。

そして、男が女性を襲ったことに対して、
男は何事もなかったかのようにされる社会、
その「隠される」社会が一番怖い。
それは、その加害者の男だけでなく、
何事もなかったかのように男たちを持て囃す女性や、
社会の調和を保とうとする大人たちにも罪があることも描かれる。
加害者がしたことの重みはわかっているのに、
それが隠されるのはまわりの社会が作っている。
でも、それを隠すことに痛みを抱えて、二次被害を受ける人もいることも描く。
すごく多面的な話になっている。

隠されているのは、主人公の本心も。
彼女はすごくポップなファッションを纏っているし、
すごく強い女性に見える。
でも、その強すぎる印象が、
本当に彼女が抱える辛さが逆に見えてくる。
その辛さを癒してくれる彼氏、
スーパーでのデートシーンは本当に見ていて幸せだった。
ただ、これについてもあることが隠されていた。
その落差が本当に怖い。
ラストの主人公の行動は彼氏にとって一生忘れられないものを残してると思う。

すごく見やすい映画だ。
ポップだし、展開はとてもエンターテイメントだ。
でも、そこに隠される様々なことの気持ち悪さがとてつもなく伝わってきて、
男である自分は、自分への怖さも感じてきた作品だった。。。