MOCO

2012のMOCOのレビュー・感想・評価

2012(2009年製作の映画)
4.5
「この事態に気づいたインドの若い学者が我々をここへ導いた。
 我々がまだ生きているのは彼のおかげなのだが、彼は家族と共に津波に飲み込まれて死んだ。僕の友人だった。
 無念だっただろう・・・。

 我々が非情な行いで未来に踏み出せば大勢が無駄に死ぬことになる・・・
 それを子供にどう伝える?」(エイドリアン)


 漫画家星野之宣氏が1975年に「はるかなる朝」という作品を著しているのですが、このお話は高度な文明を築いていたアトランティスの科学者が地殻変動を予見し、全人類を一時的に宇宙に避難させる計画をたてるのですが、予想より早い地殻変動に宇宙船2隻2000人しか脱出できず、幼馴染の男の子アトルと女の子クレイトーは別々の宇宙船に乗った。というパート1ではじまります。

 パート2は現代のシベリアで、3人の男が峡谷で氷漬けのマンモスと宇宙船を発見し、船内のカプセルで冬眠する1000人の人々を発見するのですが、年老いた男に次々と殺されてしまいます。2人目が死ぬときに偶然触れたカプセルのスイッチで目覚めたクレイトーは年老いた男がアトルと気づきます。アトルはもう1隻の宇宙船の最後に目覚めされた人であり、彼らは全員が目覚めるに相応しい時が来るまで、1人ずつ目覚めて宇宙船を守る「寝ずの番」をしていたのです。アトルは起こすつもりのなかったクレイトーに「寝ずの番」を引き継ぐせつない終わりかたをします。
 最初の舟の乗員が全員寝ずの番をこなし、舟を爆破するのですがそれが1910年頃のツングースカ大爆発に結び付けられる展開はさすが星野之宣氏です。

 パート1は「2012」の内容に似ていてパート2は2016年の 「パッセンジャー」に似ているので、SFファンの方にお薦めです、日本の「MANGA」は海外で高い評価を受けているので、映画制作の誰かがこの映画を目にしている可能性大です。


 2009年合衆国科学技術政策局の地質学者のエイドリアン・ヘルムズリー博士はニューデリー大学の科学者サトナム博士から過去最大の太陽フレアがニュートリノの異常発生を招き、ニュートリノが物理反応をおこし核粒子に変化し地球内部が異常な高温になっていることを知らされます。
 エイドリアンは直ちに大統領補佐官のアンバイザーに報告を行い翌年のG8国際会議で合衆国大統領から機密事項として報告されます。

 人類存続のための拠点は髙地チベットに設けられ「現代の方舟計画」がはじまります。 
 特別な船に乗れるのは各国の首席と人類の未来を託すことができる高度な知能を持った者とこの計画に出資する資産家だけ、多くの人々はなにも知らされないまま人類滅亡の日をむかえることになります。

「さらばアトランティス」の作家ジャクソン・カーティスは二人の子供とキャンプに出掛けたイエローストーン国立公園で個人でラジオ放送を行っているチャーリーの放送を偶然に聴きます。
 チャーリーは独自の研究でマヤ文明の世界の終末が近づきイエローストーンで大噴火が起きると分析し中継車でイエローストーンに乗り込んで来ていました。チャーリーによれば世界の終末は2012年、政府はこの事実をひた隠しにしており、公表しようとして殺された犠牲者のリストを見せられジャクソンは驚きます。リストの中には以前取材で会ったことがある「アトランティス計画」の責任者マイヤーズ教授の名前もありチャーリーはマイヤーズ教授から政府がどこで何をしてるかがわかる地図をもらったと語り、さらに政府は宇宙船を用意し限られた人間にはすでに乗車券が配られたと聞かされます(宇宙への脱出はガセネタです)。

 世界各地で地震、地割れがおきはじめ「じきに終息する」という政府の発表を誰もが信じる中、ジャクソンは副業?で契約している雇い主が双子の息子の分も含めて乗車券を持っていることを知ります。
 そして地核の温度上昇にあわせて雇い主の携帯電話に乗船を案内する連絡が・・・。ジャクソンは危険を犯し再びイエローストーンへ向かいチャーリーから地図を手に入れます・・・。

 多くの科学者が機密のために家族にも話すことができない中、噂を聞いた者達がチベットへやってきます。ジャクソン達もその一人・・・。
 そして人類の存亡を左右する地殻変動が・・・。

 主人公ジャクソン達一行が船に乗り込むくだりはどうしても頷けません、なんとか生き残ろうとする勝手な振舞いは多くの乗客の生命を脅かすことになり、船を救った行為も「元はと言えばお前の蒔いた種、死んでしまえ」と叫びたくなります。

「2012」は自然災害のSF映画では最高の映像が楽しめる映画です。もちろん愛も描かれています。初回限定のDVD付きBlu-rayは2012枚だけDVDの反射膜に純金を使用した特別仕様の物がアトランダムに封入されました。事前告知はなかったので収集癖の私が黄金に輝くDVDと説明書を目にした時の喜びはひとしお。これも大切なお宝になりました。
MOCO

MOCO