にくそん

サイコビッチのにくそんのレビュー・感想・評価

サイコビッチ(2019年製作の映画)
3.6
優等生タイプのマリウスと、自殺未遂経験があるとウワサの転校生・フリーダが心の距離を縮めていくボーイ・ミーツ・ガール映画。

イタズラ合戦のシーンとか、オフビートなダンスを踊るシーンとか(Sigridの曲なのもいい)、キラキラしていて楽しい。あとLINEか何かでテキストメッセージをやりとりするシーンが好き。どうやったら面白く返せるかとか、めちゃくちゃ考えながら打って、送信した後は他のことしながらも目はちらちら画面を見ちゃう。この感覚を通ったことない人、いないと思う。

ノルウェーの作品なので、雪に包まれた街(飛び込み台まで真っ白)やクロスカントリーの練習とかが無理なく織り込まれていて、期待した以上に美しい映画でもあった。上述のLINEすぐ後のクロカン練習シーンはぞくぞくした。序盤は音楽がわりと事故みたいに唐突に大音量で使われるのが気になったけど、このシーンは音楽の入り方も心地いい。

ただし、途中からはマリウスの言動に若干イライラ。学校のみんなが変人扱いしているフリーダに惹かれているのを、自分で勝手にタブーにしちゃって、フリーダはもちろん他の女の子や友達を傷つけながらあたふたしまくる。なにも映画の登場人物に正しさは求めてないけど、シンプルにムカつく。しかし、お母さんに乱暴な口をきいて、その1時間か2時間後にはすがりついて泣くという描写から、“マリウスくんはまだ子ども!”という作り手からのエクスキューズを受信してしまった。わかったよ、責めるのはよすよ。思春期だもんね。

マリウスとしゃべってると何を言ってもマリウスの賛辞になっちゃうというドがつく親バカのパパがかわいかったな(それがうっとうしい思春期マリウスくんの気持ちもわかるけど)。

そういえば数日前にTwitterで「エンドロールの間、何を見ているの?」っていう話題が拡散されていたけど、この映画なら使われた楽曲のタイトルを見るのも楽しかった。「Strangers」とか「Freak」とか「Psycho」とかね。
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