サイコビッチの作品情報・感想・評価

「サイコビッチ」に投稿された感想・評価

亘

亘の感想・評価

4.0
【愛すべきpsychobitch】
ノルウェーの田舎町ヨービクに暮らすマリウスは優等生。両親からも先生からも期待をされていた。彼は気になる女子レアに接近するため勉強グループを作ることを先生に提案するが、すると彼は先生から問題児フリーダを任されてしまう。相容れない2人のはずだったが、トラブルの連続から2人の距離は縮まっていく。

優等生と問題児が惹かれあっていくという設定の青春映画。このような設定の映画やドラマなどはありそうだけど、本作はサントラも風景も脚本も良い良作。特に脚本で言えばラストシーンまでトラブル続きで、主人公も葛藤を抱えていて、さらにレアとフリーダの間で揺れる心情や優等生の悩みなどどう転ぶか読めない。そこにノルウェーのアーティストたちのおしゃれなサントラが加わりポップで入り込める作品。

[不本意なグループ]
マリウスは成績優秀でクロスカントリーも得意な優等生。両親からも先生からも期待をされていた。中学校卒業が近づき、最後のダンスパーティの相手選びも始まる中、彼は密かにレアに思いを寄せていた。なかなかレアとうまく話せない彼は、先生に1対1の勉強グループづくりを提案する。しかし先生からお願いされたのは問題児フリーダの相手。彼女はクラスに溶け込めず、自殺未遂経験もある少女だった。

マリウスとフリーダそれぞれの背景が描かれたパート。冒頭からフリーダが屋上に上がったシーンが描かれてフリーダが浮いていることがわかる。一方のマリウスは優等生だがおとなしい性格。控えめな性格だし、親にも良い顔しているようだし、ザ・優等生な感じ。そんな彼がフリーダと勉強グループで接点を持つ。この2人の接点の持ち方は、例えば道端で偶然とかより不自然な感じがなくてリアルだと思う。そんなナチュラルな流れも本作のポイントだと思う。

[ファーストコンタクト]
マリウスはフリーダとの最初のセッションに行くが、一筋縄ではいかない。終始フリーダのペースになるのだ。マリウスもがんばってそれについていくが、そこから起きたトラブルはマリウスの真面目な優等生キャラゆえのものだろう。続くフリーダの家でのトラブルは、少しやり過ぎな感じはあるけど、トラブルがトラブルを生みマリウスが振り回されていく様子は不自然さがなくて脚本が良いと思う。さらにフリーダもマリウスをからかい始め2人は接近し始める。

マリウスとフリーだが近づき始めるパート。何度も書くが、トラブルがトラブルを誘発して結果的に近づくという自然さが良い。またマリウス自身女子とあまり話せないタイプなのだろう。少し話すと気になってしまいフリーダのインスタを追ってしまったりする。気弱な主人公が不可抗力で困らせられて新たな展開が始まる。自然で良い脚本だと思った。

[2人の世界]
仲良くなった2人は2人だけで会うようになる。特に印象的なのは夜の学校のシーン。フリーダが自らの境遇を語る。彼女自身家庭内でDVを受けていたからこそ感情をコントロールできなかったりするが、周囲はそれを知らずに変人呼ばわりし、ますます孤立していたのだ。そんな背景がわかる一方で屋上で音楽で踊るシーンからは2人の世界になる。

2人の世界に入り込むパート。やはり夜の学校のシーンでの2人の姿は恋人たちだったし、マリウスもいい子ぶった優等生から飛躍したパートだろう。そしてシチュエーションもよかった。特に冬の夜景をバックした映像も綺麗だし、本作のポイントとなる曲”Strangers”が流れる。その後の逃走劇も含めてまさに2人の関係そして優等生マリウスが変わったシーンだった。

[板挟み]
フリーダと仲良くなった一方で彼はレアからダンスパーティに誘われる。以前の彼にとってみれば願ってた事だけど、今ではフリーダに心が傾いている。だからレアには少し冷たく接する。とはいえ優等生としては、問題児フリーダと付き合うのは世間体も悪いし、レアの心はマリウスに向かっている。だからレアと付き合っていることにする。特にみんなでクラブに入った日のシーンはレアから求め、その後みんなの助けでセックスする。また夜の学校の事件がバレたときには体面を保つためにフリーダのせいにしてしまうしフリーダも再び閉じこもってしまう。

序盤のトラブル続きから、次第に焦点が人間関係に移る。レアとの関係は本来嬉しいはずなんだけど今のマリウスにとっては想定外。マリウスの本心と世間体のズレからマリウス自身もイラついてしまう。しかもマリウスの気持ちが離れたせいでフリーダはまた問題行動起こしてしまうし、彼も責任を抱えてしまったのだろう。しかし終盤の彼の爆発は優等生だった彼からの脱皮のようにも見えた。

[ダンスパーティ]
彼はフリーダに謝りに行くが突き放され、ついにダンスパーティ当日に臨む。レアとペアを組むはずだったが彼の頭にはフリーダと踊った曲が流れる。その後の2人の様子はまさに楽しそうだったし、まさにマリウスが自分のキャラを破った瞬間に見えた。

何よりも印象的なのがラストシーン。”Stranger”の曲も良いし、中盤のシーンが伏線だとわかる感動もある。周囲からすれば気恥ずかしさもあるのだろうが、音楽の力もあって清々しく感じられた。


印象に残ったシーン:屋上でダンスするシーン。ラストシーン。
みゅー

みゅーの感想・評価

3.7
サイコなビッチ?ってことで完全にタイトルで興味を持って鑑賞。

クラスの優等生マリウスと、クラスで浮いてる女子フリーダのお話。
(Filmarksの関連作品で『惡の華』が出ているのちょっと納得。)


先生に頼まれてフリーダと関わるようになって、もともと好きだった女子よりもフリーダのことが気になっていくマリウス。
2人のやり取り見てると「青春だ…!」って感じのものも多くて、特にクロスカントリーの練習中の彼の姿を見に来てるところとかすごい好き。
(練習後慌てて彼女がいた場所に向かうのも含めて)

ラストシーンはもう色んな意味ですごい…私はできない…って感じではあるけど、2人にだけ分かる2人の世界観がよかった。


劇中で使われてる曲がだいたい好みだったのでそこも含めて好きな作品。
akrutm

akrutmの感想・評価

4.0
クロスカントリースキー部で優等生のマリウスと過去に自殺未遂の経験があるちょっと変わった女の子フリーダの不器用な関係を描いた、マルティン・ルンド監督の青春映画。

青春映画と言ってもノルウェーの冬が舞台なので全体的に暗めの映像であるが、周囲から変人扱いされているフリーダに振り回されながらも、フリーダの自由な言動に接していくうちに、学校や家族という枠の中で優等生として(意図的にではなく何も疑わずに)振る舞っていたマリウスの内面が少しずつ変わっていく(ある意味では大人になっていく)様子や、その過程を通じて彼女を好きになっていくマリウスの心情がじっくりと描かれていて、普通の青春映画とはひと味違う良作だった。

それにしても、サイコビッチって言うほどフリーダは変人ではないので、ちょっとタイトルから受ける印象とは違う。それよりも、男子が大勢いる前で堂々とマリウスに「なんでレアとセックスしないの?」と問いつめるレアの友人のほうがぶっ飛んでるような気がする。しかも、バスルームだったからと苦しい言い訳をするマリウスに対して「それのどこが問題なの」って、どっちがビッチだよ。

フリーダを演じたエリ・リアノン・ミュラー・オズボーンもキュートだったが、レア役のSaara Sipila-Kristoffersenも大人っぽい感じがグッド。
moon

moonの感想・評価

4.6
トーキョーノーザンライツフェルティバルにて。タイトルとビジュアルに惹かれて見に行ったらこれが個人的には大当たりだった

優等生マリウスが学習ペアを組むことになったのはクラスで浮きまくりの問題児フリーダ。真逆の性格だった二人が初めて心を通わせる屋上でのダンスシーンがとにかく最高で、二人の頭の中だけに流れるビートがラストに繋がった時の開放感!私自身フリーダみたいな友人が多いからか彼女がそこまで問題児には見えなかったが、思春期の恋愛の痛々しさと甘酸っぱさがこれでもかと詰め込まれた最高の青春ムービーでした

性教育が進んでるのは素晴らしいと思うが、早くsexしろとまくし立ててくる同級生達が怖すぎてそっちの方がサイコだった…

このレビューはネタバレを含みます

トーキョーノーザンライツフェスティバル2020にて。

超のつく優等生のマリウスと異常な言動で問題児扱いされるフリーダの青春ラブコメ。
なんでも褒めちゃう父親と世話好きな母親のもとで幸せなんだけど、周囲の期待やイメージにより、抑圧されてもいるマリウスは、破天荒なフリーダに振り回されながらも惹かれていく。。。

学校の屋上、忍び込んだプール、2人きりの教室と、雪に覆われた何もない街なんだけど、スクリーンの中の2人を包む空間はキラキラしている。
ただ、自分の気持ちに素直になれないお年頃、気恥ずかしさや世間体、クラスの美少女レアとの関係がマリウスをどんどん擦り減らしていって、こちらまでヒヤヒヤしてくるし、もどかしくなってしまう。
この辺の理路整然といかない心情はいつも周りの期待に応えてきた優等生ゆえなんだろう。

そんな主人公マリウスよりも、漠然とした不安を抱えてるフリーダの方が本作のキーパーソンな気がする。
転校してきたばかりで馴染み方もわからず、仕事で留守がちな母親には心配をかけたくもない。強引だとしても突飛な行動で周囲を巻き込み関係を構築しようとしたり、気にかけて欲しかったり。少し不器用で意地っ張りだけどなんて健気なんだフリーダ。

言ってしまえば2人の少年少女が互いの心のSOSを受信して救い合う物語。
色んなしがらみを取り払って、規律も同調も気にしない。胸に流れるメロディに身をまかせるオフビートな2人に頬が緩む。

登場人物が基本的には善人ばかりで、子供っぽい部分も勿論あるけれど、中学生なのに色んな意味で成熟している。
ムスリムの彼のように友人を気遣えるか?
大人でも難しい。
幸福度の高い北欧の人権意識や他者を慮る優しさが見てとれた気がする。

日本での一般公開も期待できる作品なので、是非多くの人に観てもらいたい。
mingo

mingoの感想・評価

4.0
今年のノーザンライツラストはこちら、これまた普通の青春映画と違う毛色で北欧版「惡の華」といったところ。正反対の男女が惹かれ合うボーイミーツガールものとしてちゃんと押さえるとこは押さえ、肝になるダンスシーンにカタルシスを持っていく作りといい、幸福度ランクトップのノルウェーオスロという土地の豊かさも相まって良くないはずが無い。ビルの屋上、プールの飛び込み台、スキーコースのトンネル、すべてのロケーションが最高。斜に構えて観ても気づけば主人公やヒロインに感情移入は必至。傷つけ傷つけられ人は成長するなんてまぁ表層的なことは言ってもそうは煮えきらない、大人がいう時間が解決してくれるなんてのも持っての他、音楽がかかれば僕ら私たちは憧れの土地インドを想って「モ〜」と踊り出す。青春時代だけが持ち合わせている関係性にざわつく胸の奥あたり。便器にこびりついたウンコを主人公がオシッコで溶かすように企業戦士になってしまった私の心も溶かして欲しい。
ノーザンライツの鑑賞者て普段映画そんな観ないのに口コミで来ましたみたいな客多いうえに観た後偉そうにそうでもなかったねみたいなこと平気で言ったりするカップル多くて嫌になった
ひなた

ひなたの感想・評価

3.6
自分が傷つくのが怖くて誰かを傷つけるようなこともしたくない2人なのに、お互いを刃物で切りつけ合うようななんともクレイジーな恋愛模様。

取り繕うことで綻んでいくのがスリル満点で、どんなラストを迎えるのか緊張感がはんぱなかったし最後自分が誰を見ているかで後味も全然違うんだろうなぁと、もう1~2回観たくなるやつだった。

まじめ君もその親もそもそもの優しさは間違ってないと思うのに、時折その言動にサイコ味を感じさせてくるのがまたいやらしいかった。

あとこれラブコメって括りになってたけど、コメディ感あった???

@トーキョー ノーザンライツ フェスティバル
aymm

aymmの感想・評価

4.2
優等生のマリウスと問題児のフリーダ。
思春期のむず痒い恋心や
自分らしくいることの難しさを
爽やかに描いた青春映画!
こういうの観たかった!最高👏

音楽も良いし、
寒そうな冬景色なのに
心がぽかぽかする良作。

ポスターでは伝わらないけど、これ主人公は手前にいる青年マリウス。
なんでも褒めちゃう優しい父と世話焼きな母、
勉強もスポーツもできるマリウスは、
周りからどう見られるかを優先して暮らしてきた。
彼の良い性格を序盤のトイレシーンでうまく表してる。
凄く真面目で優しいマリウス…。
だからこそ思ったこと全部行動や言葉に出せるフリーダが羨ましく見えるんだろう。

マリウスの葛藤が丁寧に描かれているからこそ、ラストシーンの爽快感は本当に言うことなしに素晴らしい…!
[モブキャラまで聖人だらけで確かに息苦しい] 40点

普通であることの難しさとその必要性についての映画だが、対比される周りの"普通"描写が過激すぎて完全な意見統制の進んだディストピア感の方が強く、全く以て奇妙かつ薄気味悪い。やりすぎだろ。それか北欧が進み過ぎか。最早友人の事しか考えてないモブ同級生、翻弄するように見せかけて唐突に主人公への一途な思いを開花させるレアちゃん、絶対に叱ることをせずに寄り添う両親や教師に至るまで、この映画で声を荒げる人は存在しない。警備員以外。こんな感じの聖人たちに囲まれた主人公だけが"淀んで"いくような感じが逆に強調されてしまって、全然ノレなかった。劇中"サイコビッチ"と呼ばれるフリーダだって、掘り下げが甘すぎて所謂"マニック・ピクシー・ドリーム・ガール"(この手の定義不鮮明な用語はあまり使いたくないが)という枠組みを出ることはない。彼女には中々にセンシティヴで興味深い背景があるのに、匂わせるだけ匂わせてただの味付けにされてしまうあたり、自殺志願者をバカにしてるとしか思えないし、"自殺には明白な理由なんてない"とかサラッと言っちゃうのは完全に逃げてるだけでしょ。というかそもそも、自殺に明白な理由なんかないというのは半分真実で半分虚構でしょうに。自殺するかしないかは閾値を超えるか超えないかの問題で、閾値まで積層した事実と超えたきっかけに対しては、言語化出来ないだけで確実に理由はあるんですよ。そのへんも薄っぺらい。自殺なんか考えたことなんかねぇだろ、こいつ。

よくよく観てみてみると例のセラピーシーンでも"口に出すことはいいこと"とか"さらけ出して気分が良くなった"とか抽象的なことしか言ってないので、最早何をしてんのかもよく分からん。"俺らは普通です"という概念だけが先歩きしているような浮遊感。そもそも根本的にマリウスを主人公にするならもっと別のアプローチがあったような気がする。

一際目を引く冒頭の屋上シーン以外は、同じような映画が沢山思い付くし、一ヶ月後にはその中に埋没しているだろう。なんかラストも凄いことやってますという雰囲気の割りに薄っぺらいし爆発力もないし、取り敢えずマリウスと監督はレアちゃんに土下座して謝れ。あーあ、楽しみにしてたのに。

追記
サントラだけはどれも良かった。シグリッド最高!
鑑賞時のメモを読んでたら、楽しそうな字で"『ローラーガールズ・ダイアリー』"と書いてあったので、あのプールのシーンくらいまでは楽しかったんだなと。
ro

roの感想・評価

3.3
フリーダの笑いかた(声?)が好き。
Sigridノルウェー映画で聴くとひときわいい。
>|

あなたにおすすめの記事