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一度も撃ってませんのHKのレビュー・感想・評価

一度も撃ってません(2020年製作の映画)
3.8
この作品はR-15でもR-18でもなく、強いて言えばR-40?ひょっとするとR-50?
それより下の世代が見ても、“痛い高齢者”のジジババ映画にしか見えないかもしれませんが、“痛い高齢者”予備軍の私としては大いに楽しめました。

この映画、作品に反してムリに広い層を狙いすぎたのか宣伝の方向が間違ってる気がします。必要以上にコメディだと強調しすぎじゃないでしょうか。
おまけに予告編は見せすぎで筋もバラしすぎ、初見のワクワクも削がれてしまった感があります。

コメディでないとは言ってませんが(半分言ってます)、この映画はここで笑えと強制される昨今の多くのコメディ作品と違って、この面子がじわりと醸しだす人間の可笑しさを味わう映画でしょう。
ギャハハと笑える作品を期待して観に来て、たいして笑えなかった、物足りなかったという人が多いのは宣伝のミスリードが本来観に来る層と違う層も呼び込んでしまったせいだと思います。

石橋蓮司、大楠道代、桃井かおり、岸部一徳の主役4人がやはり素晴らしい。
この人たち、関係性も含め半分は本当にこんな生活してるんじゃないかとさえ思わせてくれます。
脇役の大物やベテラン俳優たちの主役たちへのリスペクトも心地よく感じられるし、故原田芳雄も実はどこかに出演しているんじゃないかと思ってしまったりします。

作り手側だけが楽しんで、観る側を置いてけぼりにする作品も多い中、本作は昔からの一ファンもバー“y”の隅っこで一緒に飲んでいる気にさせてくれる作品でした。

映画は楽しめたもん勝ちですから、楽しめなかった人はご愁傷様です。
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