一度も撃ってませんの作品情報・感想・評価

上映館(42館)

「一度も撃ってません」に投稿された感想・評価

まこと

まことの感想・評価

3.3
ハードボイルドにも程があるって言いたくなるくらいの石橋蓮司の佇まいやら口調やら仕草やら姿勢やらで

特に出演者が豪華絢爛で中高年キャスト陣の大団円やら同窓会やらで
こりゃ可笑しい。
石橋蓮司演じる伝説の殺し屋、もとい実際の伝説の殺し屋に取材して、小説にしてるだけの売れないハードボイルド作家が、ひょんなことからホンモノと勘違いされて、マジでやばいことになる。
阪本順治×丸山昇一というガチのハードボイルの人たちが、昭和スターたちと共に、もはや時代遅れ扱いされているジャンルを、愛情とノスタルジーたっぷりに笑い飛ばす。
佐藤浩市が定年だったり、新崎人生の店が閉店だったり、話の中で去りゆく人たちが多い。
でも彼らより年上の主人公は全然去る気無し。
時代に媚売るよりも、カッコ悪くたって、ニセモノだって、売れなくたって好きな生き方をさせてくれー!と静かに熱い。
キャストが地味に豪華なんだけど、トヨエツはクレジット見るまで全く分からなかった。
カメレオン凄い。
石橋蓮司と桃井かおりと岸部一徳が
薄暗いバーでわちゃわちゃとじゃれている
この三人が同じ画で✨
酔っぱらってちょっと台詞が聞きづらく、
一言一句聞き取りたかったから字幕があったら良かったのにと思う

予告の時点で楽しみで、fillmarksの試写会に応募したけど中止、公開も延期
その割りにまた予告だけで観たから、
次から次へと豪華キャストが出てくるたびに、わー✨となった
でもひとつ、寛一郎という若手の役者さんが佐藤浩市の息子だったとは
ちっとも知らずに観終わったのは残念だ

学生運動真っ只中に青春を送っていた、団塊の世代が映画の中心で
寛一郎演じる駆け出し編集者はまさに今の若いやつら
そのちょうど間にいる私はどっち付かずの中途半端だ
ジャズをバックにした石橋蓮司のキメキメハードボイルドがちょっと格好いいなという気持ちもあって、寛一郎のようには切り捨てられない
好きだったのは、女優二人の飲むシーン
ポパイさんとトヨエツ、いかにもいそうなナース役真央ちゃんも良かった

団塊の世代が後期高齢者となり、
見た目お年寄りだからやたらとみんなハッキリと大声で話しかける
そういうのって、自分にそうされるようになったら、ヤレヤレって思うのかな
出掛けに駐車場でこすって最悪だーと思った気分が、劇場出てきたらだいぶ復活してたーありがたや
ヤクザや暴力、理不尽な世界を撮り続けてきた阪本監督による、セルフパロディっぽい。
俳優陣はえらく豪華でしたが、個人的には笑いが滑っていた感じ。

作中でしっかり人死の出る話だったから、もっとハードボイルド方面に振っても、またはもっと作家コメディに振ってもよかったかも。
中途半端な位置に落とし込んだために、どっちつかずな印象に。
渋い大人の俳優達が紡ぐ、今も東京のどこかで繰り広げられているかもしれない物語。
重いようで軽く、暗いようで明るい、不思議なリズム感。
見どころ満載です。佐藤浩市・寛一郎が親子共演まして、同じ出版社の上司と部下の関係。お互いの心情が伝わってきそう。同時には出ませんが、柄本明と柄本佑も出演。さらに驚いたのは、豊川悦司のまるで別人のようなマフィア役。エンドロールまで気が付きませんでした。先日、「愛してるといってくれ」の再放送で、美しすぎる豊川悦司を観たばかりなので、その変貌ぶるに驚くばかり。そして、何歳になっても煙草とお酒がかっこよく似合う立ち振る舞いの桃井かおり。ブッキーもまさかの裏家業を演じ切る。主役の石橋蓮司をはじめすべての役者が光ってる。老年夫婦のありふれた日常と日常とはかけ離れた夜の顔。その対比が面白さを増す。そうだよね、小説家はどこかぎりぎりの部分で体験しなくては書けないよね。と妙に共感もしたくなる。細かい部分のカメラワークのこだわりも好きな演出。全ての仕上がりがお見事です。
maruco

marucoの感想・評価

3.8
「一度も撃ってません」観ました。
石橋さん演じる
この74才のおじいちゃんは
売れない作家で名を市川進と言い、
この女房には大楠さん。
毎朝この大楠女房手作りの
しじみの味噌汁を
食します。このおじいちゃん、
しじみ貝を貝殻をつけたまんまお口へ、
そのまんま、
チュウチュウじゅるじゅる、
音を立てて汁を吸い、
貝の身をぐにゅぐにゅ食べます。
食べている時の音は不快です。
奥様はそんな旦那に、
文句のひとつ言いません。
言うどころか、
にこにこと食べてる様子を眺めてます。そのときmarucoは、
アッ、惚れてるんやな(笑)✨と
思いました。
でもどう見ても市川進の食べ方は
汚ないです。
ただ、
その食べ方はね、
妙にエロチックでもあるんです。
これは紛れもなく監督の算段ですね😍
さらにはおじいちゃん、
奥さんのトイレが待てず、
間に合わずトイレの前でおもらししたり
困ったことです。
そこはやっぱり、
もはやもうもう、おじいちゃんです。

ところが、
このおじいちゃん、
市川進は暗くなると、
ひとり夜な夜な出かけます。
サングラスして、
バーバリー風のロングコートを
カッコ良く着こなし無残なハゲ頭には
粋なハットをかぶります。
お昼間の顔付き、
様子とは全く別人です。

こんなジジイがあれこれと画策します。

人は誰もが経年劣化します。
でも意外と気持ちは変わらないもの、
これはmaruco自身も感じてます。
その他豪華キャストが
モグラタタキのように、
出たりひっこんだり……、
marucoは意味なく贅沢な使い方だと
思いました。

そしてハードボイルド感はほぼ無し。
渋く淡々と穏やかに、
物語は綴られてゆきます。
ジャズが流れたときはステキです。
正直、本作もっと、
わたくしの度肝を抜かれるような、
衝撃的なシーンを魅せて頂けるかと
期待しておりましたが、
marucoのしぶとい下世話な感性には
もったいない程の、
大人のコジャレた、
そして
こなれた作品でした💐

桃井かおりさんは
唯一無二の女優です。
だって、セリフなのか、
ひとりごとなのか
わかれへんねんもん😀🤣💐
わがままで、優しくて、そして楽しい。大人の映画。

予告を観るとドタバタコメディのように見えますが、ストーリーを追いかける作品ではありません。

そよれりも見所は役者たちの好き勝手やり放題の好演。コートに帽子というスタイルで、ずれたハードボイルドな台詞を口にする石橋蓮司、歌い踊る桃井かおり、相変わらず得体のしれない岸部一徳、その他次々と登場しては強烈な印象を残していくゲスト俳優たちの「わがまま」っぷりを楽しむ映画です。ストーリーは置いておきましょう。

だけど、彼らは自分たちの好きなことだけを「わがまま」に押しつけるだけではないんです。

「生意気だな」と部下を𠮟れば「パワハラですよね」と返され、街でタバコを吸えばタバコ条例が気になる。石橋蓮司のコート姿も決まってはいるけど、どこでも同じ服装で現れるのは滑稽にしかみえない。

つまり彼らは「自分たちが時代遅れである」という認識を持ってるんですね。わがままだけじゃなくて、この時代を受け入れる「優しさ」がある。

そしてなにより、幾度となく登場する彼らが酒を酌み交わすシーンは楽しい。映画の枠から外れてるようなところもあるんですけど、ええんですよ!この空気を感じることで大満足。わがままと優しさ、両方持って楽しく生きる。

だけどラストシーンはちょっと寂しかった。老兵は消えゆくもの、とか思ってないだろうな。10年後、全く同じメンバーでPART2やりましょうぞ!
ShinMakita

ShinMakitaの感想・評価

2.1
デビュー以来全く売れない作家、市川進は御トシ74歳。妻の年金で生活しながら、未だに小説を書いては付き合いのある出版社に送っているが、本にならず、版権料しか貰えていない。出版社側も、本来なら市川を門前払いしたいところだが、原稿を受け取る編集者・児玉には市川を無下にできない理由があった。市川が書いている「サイレントキラー」シリーズは、実際にあった〈伝説の殺し屋〉による殺害現場を活写したドキュメントノベル。あまりにリアルで、市川自身が殺し屋なのではと児玉は疑っている。原稿を蹴ったら消されるかも知れない…と怖れているのだ。そんな市川が深夜に通うバー「y」では、市川が殺し屋であることは公然の秘密となっていた。市川もいかにもハードボイルドなヒットマンの雰囲気を醸し出し、昔馴染みで闇社会のトラブルシューターである元検事・石田から依頼を受け、殺しの成功報酬を受け取っていた。しかし、市川には秘密があった。実際は、彼は殺し屋ではないのだ。凄腕の暗殺者・今西に殺しの依頼を手渡すだけで、後日、今西から「仕事」の仔細を聴いて小説を書いていただけなのだ。ある日、石田がヘタを打ち、ある暴力団の恨みを買ってしまった。暴力団側は石田をリサーチし、〈伝説の殺し屋・市川進〉の存在を確認。石田を消す前に障害を排除しようと市川の命を狙い始めた。これを知って震えあがった市川は、なんとか今西の手を借りようとするのだが…


「一度も撃ってません」


以下、夜はネタバレが連れてくる。


➖➖➖

たしかにビジュアルでクスリとさせるコミカルな部分はあるし、殺し屋ぶってた素人のジジイが勘違いで命を狙われるというのは、シチュエーションコメディとして面白いプロットではあります。

でも、オフビートでもスラップスティックでもありません。世間から忘れられた3人…石橋蓮司・岸部一徳・桃井かおりの哀感溢れる飲み会に参加している気分にさせるドラマと言えるでしょう。もちろんこの3人、本当は忘れられてるどころか大スターですけど、スクリーンの中の彼らは寂しげで、身近な感じで、チャーミングなんですよね。ストーリーの変な感じ…トヨエツのキャラ造形など不可解な点が散見されるんだけど、不穏な阪本スローモーション(特に、セミナー後、女性に捕まる江口洋介の脇をレンジさんが通り過ぎるショットのカッコよさ!)など、渋い見せ方の渋い映画なのは間違いありません。70年代映画のリテラシーが高い人には最高のプレゼントになるでしょうな。もうニッチもサッチもいかなくなったレンジさんがパイソンに弾こめながら「真夜中の刑事…イヴ・モンタン…」と呟くのにニヤリとしたら、あなたも同志ですぜ^_^
 『 オイッ 忘れ物だよ… 』
ラストシーンにこれを期待したのは
 私だけでしょうか!?あの時代を思い出す。