2023年6月8日＠アップリンク京都
新進クリエイター、坂本サク監督が、アニメーション制作、音楽、原作、脚本などを「一人で担当する」脅威の一人アニメーション。まずは、この取り組みにチャレンジしていることが凄いし、継続できることを期待します。
作品は、素晴らしい点と残念な点が極端な印象。世界観、昆虫や人外生物の造形、背景、作品の持つ雰囲気などは、前作同様、素晴らしい。残念なのは、今回、チャレンジされたパフォーマンス・アクターを使ったキャラクターたち。静止している時はいいのですが、動くととても違和感があり、リアルさに欠ける。監督は、人物を描くの不得意なのだろうか。前作もそんな印象だったので。また、世界設定は素晴らしいのですが、物語の展開やセリフが、難解というより、それぞれに必然性が薄いのが気になってしまった。監督のイメージする印象的な場面を、悪くいえば「繋いだだけ」に見えてしまっている。せっかく、断片的には強烈な印象を残すシーンを生み出しているので、長編として活きていない印象。次回作にも期待。

• #一人でアニメを制作する挑戦

全くわかんない！というフォロワーさんのレビューを見て、逆に興味をもってしまう捻くれ者の私です(o´罒`o)
でも、ポスター見るだに、怖いやつだなぁとドキドキ💓観賞。

マンションの屋上からの飛び降り自殺を発見し、駆けつける女子高生3人。
だが死体は見つからず、その上、1人はぐれてしまう。
室外機の場所や吹き抜け構造の下の円形自転車置き場、経年劣化ぶりが九龍城を思わせる佇まいな大規模マンションがいい感じに気持ち悪怖い。
どこへ行ったの？と探す2人の身にも降りかかる厄災ー。


これ以降、ハチャメチャドッカンバッタンになる。
なるほど。理解するのに愛が必要な作品ですね。

今作、殆ど1人で作成されたんですね。
PCがあれば1人でここまで作り上げてしまえる事はすごい(๑✪ω✪๑)ｽｺﾞｲ！

たぶん作者が描きたいシーンを野放図に描いているので、パーツパーツの切り貼り感と、ストーリーの繋がりが甘く見えてしまうのは残念です。
とはいえ、ここまで自分の好きな物や性癖を詰め込んで楽しんでる感は伝わってくる。

キャラクターも冬目景や鶴田謙二や安倍吉俊的な世界で好きな感じなのに！
ストーリーが分かりにくい、分からせるつもりも薄い気がするのが勿体無い。

それでも、果敢に考えてみる。
ネタバレ考察をあーだこーだ(´･×･`)






















セミの幼虫が長年掛けて成虫になるように、少女から大人になる、永遠のモラトリアムからの脱出。

開幕マンションで主人公がはぐれた時に、メガネ女子が言う。
｢ここってカラビ-ヤウ空間じゃない？｣
なんで女子高生が、現代物理の最先端の「超ひも理論」や「M理論」のことをいきなり言い出すねん！とツッコミ入れ放題。
少し前まで占いの館の話してる程度のオカルトお花畑だったじゃないこの子。
マンション入ったら知性爆上がり。


とりあえず、作者がここで言いたいことは、マンションの内部は我々が知ってる4次元的な世界ではなく、“この世界は10次元や11次元なんだ！“という物理学の辻褄合わせの理屈に基づいての、残りの6次元空間の感知できない所に彷徨いこんだ。
と言いたいのだと思う。

メガネは続ける。
｢この街のある施設で実験が失敗して、産まれたらしい。なんか知らんけど。｣
と。
知らんのかい！Σ＼(ﾟДﾟ;)
結局オカルト眼鏡でしたわ。
だから外に出られないと匂わせる。
一度も出ることを試してもいないのに。
うん。開幕から観客とディスコミュニケーションで不安。

そして虫にブシューされるメガネ。
施設の実験どうこうの産物かなと、広い心で想像する。
とはいえ、なんでもいいから早く逃げるべきでは無いのだろうか。
お互い、胸を上下させて立ち尽くし過ぎる。

今作、驚いたり恐怖の時、立ちすくみ、おっぱいをブンブン動かす表現に終始する。
不随意筋のはずの耳を動かせる人が時々いるけど、この子達の胸も同じようなものかもしれない位動く。
絶対パンツは見えない、鉄壁の短いスカートなので、ここで帳尻を合わせている感じなのだろうか。


一方、主人公タマヒは、何故かマンション内部に侵入して、中庭の重力が逆転し、天空のマンションへ自殺を繰り返すのを目撃する。
ここでちゃんと話を聞いてた鑑賞者は、あーメガネが言ってた通り、異空間に来たんだな！と思うように出来てるはずだが、かなり無理ゲーだと思う。

そして、メガネ(だったモノ）に襲われるタマヒ。
逃げるにしても、階段を登って逃げるのは本当にダメだと思うの。
退路を自分から潰していく。
私も、クリーチャーに襲われたら、咄嗟に上に逃げないように、普段からイメトレしておこうと思う。

その手前で予兆のように、暗闇から足下へコロコロと転がってくる缶の演出。
ベタだけどやりたいよね！わかるよ！と思う。初めて作者と通じ会えた気がする。


逃げる転ぶ、あわやの所で気絶、それっぽい映像フラッシュバック、ジャージのアキに声をかけられ起こされる。
アキの生存能力に驚く。
この階までどうやって来たのか。正直アキがラスボスなのかと疑っていた。

そして、パニックになりマンションの外を見る、、。
暗黒大陸に到着してる！( °o°)
冨樫先生もニッコリ。

悟りあったように語り合う女子高生2人。
｢ユウ(メガネ)はもう居ないんだ。あれは記憶を奪うんだ。｣的なことを言う。
時々この子達、神様のカンペ読むのね。

なのに、そこまで見えてる癖に、なんで部屋に逃げるねん！(ꐦ°᷄д°᷅)
部屋入るの悪手やろ！！という、普段ホラーを見ないせいで、ホラーの理不尽な行動を許さない私がいる。

アパートの暗い部屋に入り、スマホのライトを照らす。
工具箱から武器になりそうな工具を取る。
私もラストオブアスでプレイしたやつだ！😊
アレと戦おうと切りかえる速さは凄いが、それ以上になぜか突然レズ要素がはいる。
ちょっと頭が渋滞しちゃう。
そんなこと許しませんよ！と虫さんも排水溝からワラワラでてくる。

そして捕まるタマヒ。
もうこの辺のよく分からないシステムは描きたいだけなのだと思うし、磔好きの性癖をも感じる。

襲い来るクリーチャーを倒すとアキの思念が流れ出す。
そしてマンションの崩壊が起きる。
エレベーターで落下が描きたいのだろうけど、慣性的には死んでいた。
だが、この程度で目くじらを立ててたらこの作品は見られない。


地下でアキの声によって行くと、アキだったムカデに出会う。
そして流れ込む記憶。

ずーっとループした世界を見ていたことに気が付つくタマヒと鑑賞者。
そうかーそうだったんだー。
開幕自殺してたのも私。
ユウを襲ったのも私。
3人でこの永久ループマンションにこもっていたことを知る。

とめどなく投身自殺する自分の身体。
吹き抜けの中で、ループし、重ね合わせの時間の中で落ち続け、肉体のプールが出来れば、たしかに緩衝材なり、高低差ゼロになり、投身自殺も助かるね！と、ゼロに見えるけど時間を積み重ね、変化する血の池地獄。
この最悪のリーディングシュタイナーのようや発想は面白いなぁとは思う。(>ᴗ<)


そして場面が飛んで日常風景に。
急行電車に乗ってしまったという3人。
本当は途中で降りないとなのに、終点まで強制的に連れていく電車。
高校生活もあと少し。
仲良し3人も大人になるため、バラバラになる、その手前の無駄な時間。
その無駄な時間を永遠に引き伸ばして居たい想いと、ミラクルな施設の記憶を参照するクリーチャーが合致してしまい起きた物語、、なのだと思う。

少女のままのアキとユウを連れて、自分も少女のままでは、このループからは抜けられない。
3人は大人になることを選択しなければならない。
魔法少女から魔女になる物語といっても過言では無いのかもしれない(*/∀︎＼*)

もうええでしょう？と大人になる自分が、磔で抵抗する自分を貫く。
大人へ羽化するタマヒ。
それは少しの寂しさも抱える物語。


ラスト。
初めての一人暮らしをするために不動産屋にやってくる女性。
あのマンションはリノベーションされて美しく変わっていた。
大人の1歩を踏み出した彼女を迎えるように✨


的な話？Ҩ(´-ω-｀)
かなぁ、、と思いました。
作品として言葉足らず(とても)だとは思うけど、内容は素敵なんですよね。
なにより、1人でここまで描いたのはやはり凄いです👏


皆さんの感想読みます(`･ω･)ゞ



追記。
皆さんのレビューみたら、今作元ネタある続編的な立ち位置なんですね。
それがあるともう少し不思議クリーチャーも補完できるのかしらー。
少なくとも虫のことは不思議装置としてしか分かりませんでした(>ω<;)

今日はゼリコフィルムさまからムビチケをいただき、『アムリタの饗宴／アラーニェの虫籠<リファイン版>』を鑑賞。

こちらは新作だけど『アラーニェの虫籠』の前日譚。

あの特徴ある蟲の蔓延る団地が舞台。見た瞬間に「おー！」と思う。

放課後の帰り道、団地の屋上から飛び降りる人影を見た女子高生3人は、蟲たちの巣食う異空間に引き寄せられ閉じ込められる。

タマヒたちが閉じ込められた世界は惨劇が繰り返すループ空間。

巨大でグロテスクな蟲に殺され続ける女子高生たち。タマヒは繰り返すループの中で運命を「変えることができる」という希望の糸口を見つけるのだが…

前作より、いわゆるアニメ的。CG感が強くなったけど、キャラクターデザインもかわいくなった。

その分、前作よりはっきりホラー。前作は「蟲」の存在を知る者や、「蟲」と闘う者もいて、主人公が「蟲」の謎に迫っていく謎解きの要素が大きかったけど、本作では主人公も含めてバンバン死ぬし、シンプルにサバイバルもの。

でも空間も時間もねじれ、パンフレット読んでも辻褄がどう合うのかわからないけど、そこまで含めて、この「坂本サク」ワールドを楽しむのが吉なのかな。

ラストで前作の『アラーニェの虫籠』に繋がった時になんかニヤッとして「よくできてるなぁ」って。

併映だからもちろん両方見れるんだけど、これは前作の『アラーニェの虫籠』と続けて見ることを推奨。

ああ、この坂本サクが思いっきり予算とスタッフがいたらどんなもん作るんだろう？　また次も楽しみだ。