平野レミゼラブル

さんかく窓の外側は夜の平野レミゼラブルのレビュー・感想・評価

さんかく窓の外側は夜(2021年製作の映画)
3.2
【さんかく顔の外面は良し】
霊が見える体質の青年三角が出会ったのは除霊師の冷川。三角を通すことでハッキリ霊を見ること、その霊の記憶をも読むことが出来ることに興味を覚えた冷川は、彼を助手として雇うことにするが…と言ったちょっとブロマンス要素強めのオカルトミステリー漫画原作の実写映画。
原作は未読なんですが、なんと言っても冷川に岡田将生、三角に志尊淳というひたすらに顔が良い座組の時点で興味は津々。さらにそこに裏で呪い師をしている謎の女子高生・ヒウラエリカ役としてやっぱり顔が良すぎるてちちゃんこと平手友梨奈も参戦するんだから非常に豪勢。『響-HIBIKI-』のジャケットで一目惚れしちゃった時以来、てちちゃんの顔すき。
もう顔の良さだけでどう考えても映画の元は取れるなって感じでして、これはもう『さんかく窓の外側は夜』じゃなくて『さんかく顔の外面は良し』ですよ!!!何言ってるんですかね……

実際、メインキャストの顔の良さで売っている感じはなくもないです。というか、顔が良いのは作中でも共通認識らしく、滝藤賢一演じる刑事の半澤(半沢直樹見てるとスッゲェーややこしい名前!)が冷川のことを「無駄に顔がいい男」呼ばわりしているのには思わず噴いた。
「無駄に顔がいい」とは言われるものの、映画スタッフのキャスト全員のご尊顔を決して無駄にはしないという意気込みは感じられて、撮影されたその顔はやはりどの角度から見ても美しくひたすらに眼福です。まだ論文にはなっていないが、美男・美女の顔は体に良い。いずれ癌にも効く。
挙句、ワンシーンのみの役柄にさえ北川景子というあまりに顔が良すぎるキャスティングをしてくるので恐れ入る。本当に顔の良さ全開で攻めてきやがる……まあこっちは流石に「無駄に顔のいい被害者」としか言えないキャストでしたが……

ただ、本当にビジュアルは良いんですけど、後半になるにつれて肝心のビジュアルが落ちていっちゃうんですよね……特に致命的なのが最終決戦の場所でして、なんか呪いが溜まりに溜まったヤバいところらしいんですが、現代アーティストが手掛けた美術館の一室みたいなビジュアルで思わず失笑。なんなんだよ、この図工の時間で使ったモールを禍々しくして敷き詰めたような部屋……

どう考えても最初の方に出てきていた「連続殺人鬼が切り取った女性のパーツを継ぎ接ぎにした遺体」という特級呪物の方があらゆる意味でヤバかったし、確実にスケールダウンしています。
また、その部屋で我らがてちちゃんが対魔忍よろしく触手攻めに遭うシーンがあり、息子も思わずヤンチャになりそうな気がしましたが、例によって触手の質感が禍々しくなった図工の時間のモールなので愚息もションボリでした。

話の内容自体はまあ良くも悪くも普通。
特殊な生い立ち故に善悪の区別がついていない冷川と、霊視の能力のせいで今まで人付き合いを避けていた三角が、その能力の用途以外でも近付いて徐々に受け入れていく過程はよく現せていたと思います。二人とも正反対なようで実は似たもの同士。距離感の詰め方が下手なんですよね。あと、事あるごとに冷川が焼肉食ってる理由もちゃんとあったのは律儀。
ただ、ヒウラエリカはこの二人の関係に横入りする形になるワケですが、彼女の場合はなァ〜……罪と赦しもテーマの一つではありますし、彼女も境遇的に仕方ない側面はあるんですが、どうも物語的に許せるラインをはみ出しているような……顔の良い女を殺してますし、特級呪物の作成がガチでヤバいことすぎるんだよなァ……
あと半澤は「怪異を信じない力」が誰よりも強いということを冷川に評価されてましたが、怪事件ある度に冷川のところ訪ねに行くあたり、大分怪異を信じてません?

ところどころにツッコミどころはあるし、後半は一気にチープ&間延びしている側面はあるとは言え、顔の良さで全てを許容できる作品ではありますかね。
ラストがモロにクリフハンガーだったけど、続きは作られるのだろうか?続編作られたとして観るかどうか微妙な位置ですが、また顔の良いゲストが出たら観ちゃうんだろうな……顔が良い人間大好きだから……