茜

モールスの茜のレビュー・感想・評価

モールス(2010年製作の映画)
3.0
いかにも気の弱そうな12歳の少年オーウェンが隣の部屋に引っ越してきた少女アビーに恋をする。
このあらすじだけ読むと素直に純粋な恋愛映画だけど、この映画のカテゴリはR15指定のホラー。
クロエちゃん演じるアビーは実は普通の女の子ではなく、物語の結末はどこか救いようのない残酷さを感じた。

オーウェンは純粋な恋心としてアビーに惹かれているものの、アビーのオーウェンに対する気持ちはちょっと違うのかもしれない。
勿論オーウェンの事を気に入ったから、いじめに対するアドバイスをしたり、一緒に過ごしたりしたんだろうけど、
結局アビーが生きて行くためには保護者のような存在が必要で、その保護者であったおじさんを失ったアビーに次の保護者として見初められたのがオーウェンなのかなって。
気弱で貧弱なオーウェンなら従順そうだし、健気に自分に従ってくれそうな感じするし…。
最後のプールのシーンとか、まさしく今後の主従関係を表す演出だったような気がする。

アビーと共に生きる、つまりアビーに従う人生を選んだオーウェンは、第二のおじさんになってしまうのか。
そう考えるとオーウェンの純粋な思いが余りにも脆い橋を渡っているようで恐ろしい。
けれども、こんな不安感満載の終わり方も意外と素敵かもしれないなぁと感じた。
茜