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のぼる小寺さんのいののレビュー・感想・評価

のぼる小寺さん(2020年製作の映画)
4.1
ガンバと仲間たち


点数をつけてしまうのがもったいないような映画。映画としては不格好だと思うし、不器用な映画だとも思う。主役級の面々以外の描き方も粗いし。(例:卓球部の同級生2名。もちょっと愛を注いで描いてくれたらなって思う)だから、数値であらわしてしまうと、私の場合はこうなってしまう。


だけどだけど、数値では言い表すことはできないところに、この映画の良さがある。その不格好さや不器用さをこえて、心の中で大事にしていたいと思うような映画。小寺さんにどうしようもなく惹きつけられ、小寺さんをどうしたって目で追わざるを得ず、もう、小寺さん小寺さん小寺さんになってまう。小寺さんは、「自由」について、めっちゃステキな表現で語る。小寺さんが、「自由」をひと言で言い表す時、そこには、清涼な風が吹き抜ける。小寺さんのひと言で、私はたしかに自由を感じ、自由そのものを体験する。私はボルタリング部への入部を決意してしまう。何度も挑戦して、何度も落っこちて、それでも何度も何度もよじ登るんだ。


小寺さんに抗いようもなく惹かれてしまう人は、きっと、自分の心のなかに元々小寺さんが棲息していたことに気づかないでいた人だ。でも、小寺さんを追っかけるうちに、自分の心のなかにある小寺さんとも出会い、ゆっくりと大事に向き合うことになる。これまでの自分と、自分の心のなかの小寺さんとが融合することになる。背中と背中をくっつける感じで。そっか、それが羽になるんだ。それが羽ばたきの始まりなんだ。そうそう、そうなんだ、そういうことなんだ!(大発見!)



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超弩級ビッグTにハーフパンツの小寺さん。時には制服のスカートのままでボルタリング。2020年度太腿大賞最優秀賞の受賞が既に内定済みの小寺さん(注:いの調査による)。そして、おさるのジョージも顔負けの、おさるの小寺さんの、愛らしさといったら!あの場面を思い出すだけで、当分幸せに暮らせそうです笑


ガンバ!は相手を応援する言葉であり、同時に自分も鼓舞する言葉なんやなあって。そんな当たり前のことをしみじみ思う夏であった。
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