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サイモン・バーチのYYamadaのレビュー・感想・評価

サイモン・バーチ(1998年製作の映画)
3.8
【ヒューマンドラマのススメ】
 ~映画を通じて人生を学ぶ

◆作品名:
サイモン・バーチ (1998)
◆主人公のポジション
生まれながらにして
 とても体が小さい少年
◆該当する人間感情
 信頼、感傷、愛

〈本作の粗筋〉
・12歳で身長が96センチしかないサイモン・バーチ。生まれたときから医者に一晩も持たないだろうと見放され、両親からも気味悪がられて愛情を注いでもらえなかったが、父親のいない親友のジョーとともに元気な子供に成長した。
・体が小さいことを除けば、普通の子供と変わらないサイモンは、小さな僕にしかできない、何かの役に立つことがきっとくる、そう思いながら日々を過ごすサイモンに、やがて試練の時が訪れる…。

〈見処〉
①神様には大きなプランがある
 僕のために、きっと——
・『サイモン・バーチ』は、アメリカのベストセラー小説「オーエンのために祈りを」を元に、1998年に製作されたヒューマンドラマ。本作が初監督作となるマーク・スティーヴン・ジョンソンが監督・脚本を務めている。
・1950年代の「古き良きアメリカ」を舞台に私生児の少年と、生まれながらにしてとても体が小さい少年との友情を描いた感動作であるが、コメディ要素も多く含む明るい作風が特徴である。
・本作主人公のサイモンを演じるイアン・マイケル・スミスは配役と同様にモルキオ症候群患者の当事者。サイモンの親友ジョーを務めるのは、『ジュラシック・パーク』や『マイ・フレンド・フォーエバー』など、当時の人気子役スター、ジョセフ・マゼロ。
・少年二人を取り巻く共演は『ドクター・ドリトル』のオリヴァー・プラット、『ノマドランド』のデイヴィッド・ストラサーン、『コレクター』のアシュレイ・ジャッド。大人になったジョー役とナレーターとして、ジム・キャリーがノー・クレジットでカメオ出演している。

②結び…本作の見処は?
◎:「自分の体が小さいのは何か意味がある」…ハンディキャップをかかえながらも、前向きに生きるサイモン・バーチの信仰心をもとに展開される本作は『フォレスト・ガンプ』と『マイ・フレンド・フォーエバー』を折衷したような温かい作風の友情ドラマとして、最後まで作品に集中して鑑賞することが出来る。知名度はないが、感動の余韻の残るドラマ。
◎: 魅了的な共演陣のなかで、とくにアシュレイ・ジャッドが扮する、友人ジョーの母親による少年2人への溢れるほどの愛情が大変魅力的に描写されている。
○: 感動作品『マイ・フレンド・フォーエバー』にてエイズに感染した少年を演じたジョセフ・マゼロ。本作では、ハンディを抱える友人役となる逆の立場を演じている。
▲: 感動的なドラマが展開される本作のなかで、少年野球の逸話や、私生児の少年ジョーの父親の探求など、ストーリー展開の強引さを感じる。また、壮大すぎる劇中曲も「感動の押し売り」感あり。
×: まるでホラー映画のような本作のジャケット写真。こんなシーンは劇中になく、感動作品として訴求しない残念な出来。

③本作から得られる「人生の学び」
・人間の誰もが、生を受けた意義はあるはず。
・人生を変えてくれた故人を偲ぶ気持ちを持ち続けたい。
・マイノリティーと対等に接することは、相手を受容すること。
・親は子供を選べるが、子供は親を選べない。
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