恐らく見終わった時、何とも辛い気持ちになってしまうのだろうなと覚悟して鑑賞。そして、やはり辛く悲しい気持ちになってしまった。
誰もが少しずつ罪を犯し、それをきっかけに深く傷ついていく。そもそもの始まりは、些細なことだったのかもしれないし、修正がきくことだったのかもしれない。この映画の始まりともいえる少女の万引きの前にたぶんそれはあって、そんな小さな綻びや罪がダンブルウィードのように絡まり肥大化しながら転がり流されていく。その行き着く先にあるものが希望であるようにと願わずにはいられなかった。
登場人物が皆、ややデフォルメされているかもしれないが現実の世界に生きていそうな人間ばかりな上に、彼ら彼女たちが特殊な人間であったり、こうなるべく行動をしているとも思えず、結果、それぞれがあげた拳をおろす場所を見失なってしまっている様が見ていて辛かった。それを演じる役者の誰もがこう鬱々とした闇のようなものをはらんだ人間を三者三様に演じ（古田新太、松坂桃季、寺島しのぶ、藤原季節などなど皆さん素晴らしかったと思う）、見ている側も一概に誰かを悪だと思うこともできず。とはいえ、誰かに肩入れする気持ちにもなれない。自分が当事者だったらどうするかと考えてみるけれど、私も彼らと同じようにただただ悶え苦しんでしまいそうだ。
恐らく、この映画もそこに対する結論までは見せてくれてはいない。（と、私は思う）
だからか、この映画の投げかけるものが重すぎて強すぎて。
吉田恵輔監督の映画は「ヒメアノ～ル」に続き2作目だが、ある意味この監督の映画は私の中に突き刺さってきて、そしてそれがなかなか消え去ってくれないのだ。
