むぅ

Swallow/スワロウのむぅのレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
4.0
ビー玉に映る世界が好きだ。
その中に世界が閉じ込められたような写真が撮れるので、カメラを持って出かける時はビー玉も持って行く。

色々なものを飲み込んでいくハンターが、最初に見つめ、口にしたのがビー玉だった。
宙に浮いたままの自分の気持ちが、キラッと光るビー玉に映っているように見えたのだろうか、伝えたかった想いが詰まったビー玉を飲み込んでしまえば、その想いも体の中に消えると思ったのかな、と思いながら見つめた。
ハンターはビー玉をきっかけに、次々と危険なものを飲み込んでいく。その、本来なら到底飲み込めないものたちは、夫やその両親から向けられる言葉や視線であるように私は感じてしまった。
そんなもの、平気な顔をして飲み込めるならば飲み込んでしまいたい。でも、そんなのなかなか出来る事ではない。

口に出来なかった言葉や感情を飲み込む事や、ましてや自分1人で消化する時の違和感やしんどさ、どんなに頑張っても飲み込んだそれに自分が蝕まれていくような感覚は覚えがある。
ガツンと目の前に置かれて、未だに飲み込めてない言葉や、ずっと消化出来ずに心の中に残っている言葉もあるな、と思った。
それとは逆に飲み込んでしまうのがもったいなくて、ずっと眺めていたかった言葉や、飴玉のように口の中で転がし続けたい想いもあるな、とも。

ラストシーンから始まるエンドロールがなんとも秀逸だった。
きっと人は"出して"日々を生きていく。
むぅ

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