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Swallow/スワロウのYYamadaのレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
3.7
【スリラー映画のススメ】
◆作品名:
Swallow/スワロウ (2019)
◆映倫区分 / 日本 : R15+
◆スリラーの要素
「異食症」行動が居場所を失う恐怖
◆本作のポジショニング
 サスペンス □□□■□ スリラー

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・ニューヨーク郊外の邸宅で、誰もがうらやむような暮らしを手に入れた主婦ハンターであるが、彼女を取り巻く日常は孤独で息苦しいものだった。そんな中、ハンターの妊娠が発覚。夫と義父母は歓喜の声をあげるが、ハンターの孤独はこれまで以上に深くなっていった。
・ある日、ふとしたことから衝動にかられ、ガラス玉を口に入れて飲み込んでしまうが、異物を飲み込むことに多幸感を抱くようになったハンターは、さらなる危険なものを飲み込みたい欲望にかられていく…。

〈見処〉
①「欲望」をのみこんでゆく――
・『Swallow/スワロウ』は、2019年に製作されたR15+スリラー映画。カーロ・ミラベラ=デイヴィスの単独長編映画監督デビュー作品。
・ビー玉から始まり、画鋲、小石、ネジ、電池、ドライバー…エスカレートが止まらず、食べ物以外の物体を飲み込み続ける「異食症」となった新婚の妊婦を描いた本作。
・主演は『マグニフィセント・セブン』のヘイリー・ベネット。

②題名の意味
作中に登場しない「ツバメ」以外のタイトルネーム「Swallow」を持つ意味は、本作に関係するものばかり。
・飲み込む
・忍ぶ、抑える
・見えなくする、行動を取り消す

③結び…本作の見処は?
◎:「怖くないはずの日常生活の怖さ」…。夫婦間の格差。友人もなく家族に見向きもされない孤独感。妊娠したことで、夫にモノとして扱われること屈辱。カウンセラーに裏切られる失望。彼女が「異食症」が精神異常ではなく、自分を取り戻す行為と描かれた日常的ホラーは誰にでも起こり得る内容であるからこそ怖い。
◎: スリラーにダーク・コメディ、人間ドラマの要素も加えた本作は、その丁寧な演出によってとにかく観やすい。全てを排出したことを想起させるエンディングの演出も上手い。
○: ヘイリー・ベネットによる、今のところのベスト作品。
▲: 映画で描かれる金持ち層は、ほぼ全員がゲス。
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