emi

Swallow/スワロウのemiのネタバレレビュー・内容・結末

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
2.2

このレビューはネタバレを含みます

残念ながら全然共感できない作品だった。
主人公が好きにもなれず、心情にも寄り添えない…。

ハンターが夫から何不自由ない暮らしを与えられているのは事実で、お金も時間もある。1日家にいてやることのない日々、しかしそれを選択したのは夫以上に彼女自身ではなく…?
自らが変われば充実した日々を送る事だってできたかもしれないのに。

全体のストーリーや主人公や周囲の行動、どこをとっても女性の解放や自立を感じさせるほど、そもそも束縛されているようには思えない。不条理を飲み込んでいるというより、勝手に不満を溜め込んでいるように見える。(事実そういう性質で、だからこそ異食に繋がっているのかもしれないが)

夫やその両親はプライドが高そうでモラハラ臭も漂い癖も強い。ステレオタイプな妻を求めていそうな描写はあるが、少なくとも彼等なりにハンターのことを考え、家族の一員として接していたように見えた。再三治療も受けさせようとはしてくれて、彼女の病気に多少なりとも寄り添う姿勢を見せていた。

彼女が抱えている過去は問題のひとつに過ぎない。それを結婚相手に黙っていたのも、孤独を言葉にして伝えなかったのも、真面目に治療に向き合わなかったのも一体何故なの…?異食症の異質さばかりにフォーカスして他の描写がかなり雑に思える。


冒頭の食事シーンでは、夫にメールが届き「ごめん待って、返信しなきゃ」と言われ「どうぞ」と答えているにも関わらず話し続け、結局聞いていなかった夫に笑って誤魔化され複雑そうな表情を浮かべる。なんだかハンターの身勝手さを象徴しているようで好きじゃない。いや、待ってって言われてるじゃん…。嫌なら"どうぞ"じゃないでしょ?と。

監視役が突然逃がしてくれるのもなんでや!という唐突さ。ベッドの下に潜った際は一緒に居眠りしてるし、監視の意味…。

夫は最後電話でハンターにかなり酷い言葉を浴びせてくるけど…ハンターの行動、訳わからなすぎてそうも言いたくなりますやろ。ラストは1人で堕胎薬を飲んでエンディング。

ハンターにとって子供の命ってなんだったの?飲み込んだビー玉と変わらなかったの?

もやもやが募りまくる…。
気になっていた作品だけに。
emi

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