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劇場版 きのう何食べた?のYACCOのレビュー・感想・評価

劇場版 きのう何食べた?(2021年製作の映画)
4.5
祝日の水曜日の映画館は思いのほか席が埋まっていて少し驚いてしまった。
カップルや夫婦っぽい方たちも多くて、思えば原作の掲載誌はモーニングだったなと。
ドラマ化が決まった時、まさか映画化されることになるとは思わなかったけれど、映画も安定の「きのう何食べた?」に、休日の午後ほっこりとした気持ちにさせられた。
この実写化はいわゆる原作のキャラクターにビジュアルがそっくり!と言えるほど寄せてきてはいないのだけれど、不思議と違和感がない。それはひとりひとりキャラクターがとても良い意味で作り込まれているからのような気がする。
私は、シロさんの西島さんはイメージ通りだったけれど、ケンジが内野聖陽さんはどうかなと思っていたのだが、今となっては内野さんのケンジが可愛くて原作を読んでもなんとなく脳内再生されるケンジは内野さんのケンジになってしまっているくらいだ。
小日向さんとジルベールもこれはこれでいいし、この4人が出るシーンはもっと見たくなる。
数々の食事シーンは勿論のこと、冒頭の京都旅行やラストの花見のシーンなど、いつもとは少し異なる見せ場もあり、京都はもちろんのこと、ここ数年桜もあんな風に見ていないなと映画のなかの景色に心を奪われた。(早くあんな風に見に行ったりしたいものだ)

本作は、原作同様何気ない日常と食事風景を通して、その温かくも穏やかな日常のなかに、とても大切で普遍的なメッセージを投げかけてくる。家族とは、大切な人とは。それを、声高に何かを叫んだり伝えようとするわけではないけれど、その様が実に心に沁みるのだ。

原作の作者が時系列に沿って物語を書いていくのが好きだと何かのインタビューで答えていたと思うけれど、原作でもシロさんとケンジは歳を重ねながらふたりで過ごしている。いつかまたそんな二人の姿を今作のキャストで見れたら。そんな楽しみができた。
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