ぼのご

ハウス・イン・ザ・フィールズのぼのごのレビュー・感想・評価

-
モロッコの山奥。
自然や衣装が目を見張る美しさ。
そこにいる人々は保守的な暮らしが続き、国としては男女平等という立場を表明していても田舎までは広まらない。女性は朝早くからひたすら家事を行い、結婚が決まると学校を辞めるから卒業出来ないことも珍しくない。

カディジャは賢い子で国の法律や性別についても思考を巡らせていて、弁護士を夢見る。でも大好きな姉は嫁ぐことになり学校を辞め、姉と離れ離れになる悲しさと自分も卒業出来ないのではないかという不安を抱く。それらがそのまま表情に出ていて切ない。ポスターでこの表情が気になって観に行きました。

相手の顔も知らないのに義務でする結婚。
結婚式は美しい色合いと宝石のようにキラキラした伝統衣装が素敵で、鳴り響く音楽や歌声も情緒がある。美味しそうなご馳走が並び、一見すると華やかな盛り上がりなんだけど、花嫁はベール越しでもハッキリわかるほど憂鬱な表情。全く望んでいないんだから当たり前だ。お祭り騒ぎがモノスゴク虚しく感じた。

村の人々を見ていると不幸と呼ぶのは全然相応しくないし、恋愛が素晴らしいものだとも僕は思っていないけど、だからといってしたくもないのに相手もタイミングも誰かに決められて、あれよあれよという間に結婚していく様子は観ていて気分が良いものではなかった。

カディジャは自由に生きてほしいなぁ。僕たちが彼女を観れるのはこの映画で撮られている部分だけ。でも本当に、自分の道を好きに選んでほしい。
ぼのご

ぼのご