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オールド・ガードのBeSiのレビュー・感想・評価

オールド・ガード(2020年製作の映画)
4.9
NETFLIX映画祭まだまだ終わらない(いやもう終わりそう)。以下レビュー。

3本目「オールド・ガード」

不死身の身体を持つ4人の戦士。彼らは秘密部隊 "オール・ガード" のメンバーとして、これまで積んできた膨大な経験を生かし、何世紀にもわたり人類を守り続けてきた。しかしある日、その特殊能力が突如として暴かれてしまう。やがて、ある陰謀を企む謎の組織が彼らに襲いかかる。



.....これは見事にやられた。
不死身なりに悪者たちを一掃する脳死アクション映画だと思ってたんですが、僕の予想を遥かに上回った。

ここまでレビューしてきた2作に比べ、斬新な設定ながら圧倒的なリアリティを醸し出している。これは特に、葛藤やトラウマという部分で言えることだと思う。アクション映画にはこういった心理描写は付き物だ。観客にとっての束の間の休息を与えるものと言っても良いだろう。しかし今作ではそれらの要素さえも、観客を休ませない重要なものとなっている。

何百年何千年という長い時間、不死身でいることは果たして彼らにとって良いことなのだろうか。"死"という概念に対する認識が極限まで薄れると、時代の目まぐるしい変化に順応してきた彼らの心の変化はどうなっていくのだろうか。戦士たちの表情には、終始幸せな雰囲気があまり伺えない。叫びたくなるほど痛いのに、いっその事こんな面白みの無い能力など捨てて死のうと何度も思うのに、死ねない。不死身として生き続けてきて良かった事なんて、数えられるくらいしか無い。だがそんな悲観的な彼らの中にも、貫き通している信条がある。

大義のために弱者や罪なき人々の命を軽んじることはどんな場合であっても許されない。悪しきを断ち、常に自分たちの信じる正義の側に立って戦い続けてきたことで世界の歴史を作ってきた彼らこそが、多様な人種、宗教、価値観、年代の人々が手を取り合って未来へと前進していくことの重要性を更に強いものにしているのだ。また、戦士として生きる彼らの闘争本能が垣間見える表情ひとつひとつが、一何時も、彼らが、"死に方は選べないが、生き方は選べる" という意識を持って戦っているということを痛感させられる。孤独に生きる英雄の、重く切なく逞しい生き様を今作で刮目できたことを嬉しく思う。

いやぁ面白かった。シャーリーズ姉さんメッチャ綺麗でスタイル良くてキレッキレでカッコイイし、彼女に劣らないほど素晴らしい演技で魅了してくれた豪華なキャストも良かったし、生々しい骨太アクションも最高だし、斬新なアイデアをここまでリアルに表現してるのも凄いし。これもまた続編はありそうですね。本当に楽しみ。うぅ...心に重くのしかかる傑作でした。


俺もあんなカッコイイ女の人とツーショット写真撮りたいよ。すぐ消されるだろうけど。
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