バルバワ

日本沈没のバルバワのレビュー・感想・評価

日本沈没(2006年製作の映画)
3.5
さてさて、コロナウイルスに対してビビりが過ぎたので自分で勝手に映画キャンペーンを組む始末。

コロナよりヤバいよ…新旧『日本沈没』観くらレビュー!

前回は1973年版でしたので今回は2006年版の『日本沈没』!
連投レビュー失礼致しますm(__)m

いやぁ、冷める…冷めすぎる!

あらすじは日本が沈む!

【特撮はすんごい】
やはりふんだんにCG使った破壊描写は最高でしたね。1973年版ではミニチュアでの表現だったから難しかった人々が災害に呑み込まれるが描かれているのもGOODでした。
ただ災害シーンを観る度「ゴジラやガメラ出てこないかなぁ」と物足りなく感じるのは今作の監督をはじめ特撮監督やVFXプロデューサーは平成ゴジラ、ガメラシリーズを手掛けた方々なので仕方のないことなのですかね…( ̄ー ̄)デジャヴ

【既視感がすんごい】
1973年版は沈み行く日本から脱出し、日本人が海外に移住するというやや突き放し気味のストーリーラインだったのに 対し、今作は日本の沈没を防ぐという方向にストーリーが進んでいきます。
この沈没を防ぐシークエンスはブルース・ウィリスが隕石から地球を救う映画にそっくりでした。日本海溝のプレートに穴を掘って爆弾入れるとか…エアロ・スミス流れても何の疑問も湧かないッッ!

【既視感がすんごい②】
あと1973年版が政府の人々の話だったのに対し、今作は市政の人々にスポットを当てています。
災害に巻き込まれつつもユーモアで心が折れないようにしているおじさん、おばさんの姿には結構胸が熱くなりました。あと避難ヘリで逃げることができるのは基本金持ちで庶民は路上で避難生活を余儀なくされます。「乗せてくれー!」とフェンス越しに懇願している人々を横目に日本沈没に対して懐疑的だった学者が気まずそうに避難ヘリに乗り込むシーンや主人公の顛末とかがレオナルド・ディカプリオが豪華客船で恋愛したり、溺れたりする映画そっくりでした。

【すんごい余計なラヴストーリー】
今作のメインは市政の人々が災害に巻き込まれるではなく主人公の潜水艇乗りの小野寺とヒロインのレスキュー隊員の阿部が織り成すラヴストーリーです。

それが本当に私に合わなくてですね…。

まず1973年版では作品の魅力をグッとあげていた主人公小野寺(詳しくは1つ前の『日本沈没』レビューで言及しました)が今作では本当に苦手でした…まずは無神経なんですよ、コイツ。周りの人が災害に巻き込まれる恐怖におののいているときにイギリスに行くということを隠そうとしません。自分のことを頼っている少女もこのイギリスの件には愕然としていたのにも関わらずフォローもしないのです。なんだコイツ。

また、ヒロインの阿部に対するアプローチのもキモい。レスキュー隊員である彼女の仕事終わりに、疲労困憊しているときに自分を好きか嫌いかを詰め寄り、好意を確認したら即効キス…毎日災害に巻き込まれた人々を救い、同時に多くの死を見て心を痛めたであろう彼女に対してあんまりな対応ではないでしょうか。なんだコイツ!

挙げ句、心を奪っておいて勝手に別れを告げるんですよ。自分勝手過ぎだろ!なんだコイツ!!

最後の挨拶とばかりに学者や政府の高官、ヘリの離陸のタイミングを無視しての小野寺と阿部による長い抱擁シーンには開いた口が塞がりませんでした。このシーンの裏では先ほどの少女が土砂崩れに巻き込まれ危機的状況なのに!なんだコイツらッッ!

本当にこのラヴストーリーはつまらない上に事態の深刻さを不必要な程軽くしているような気がしました。冷めたなぁ…。

【すんごいな、この人!】
最高に冷え込む寒いラヴストーリーが話の軸なのだから、今作には1973年版の藤岡弘演じる小野寺のようなメモリアルなキャラクターはいないのかと言われると…いるんですよ、とんでもないキャラクターがねぇ…!



田所先生…あなたですよ!


基本的にクールな田所先生なんですが一部ご乱心になる部分がありまして、そこがあと日本が沈没するまでの本当の日数をパソコンで叩き出してしまったシーンから先生の魅力が爆発します。

あと10ヶ月で日本が沈むということを知ってしまった先生はその衝撃の真実に激昂。怒りのあまりほとんどカタコトのような「フザケンナー!!」という言葉とともにパソコンの画面をブン殴ります。
それでも怒りが収まらない先生は何度もパソコンにヘッドバットをかまし、見事パソコンをK.O.!

後日、自分が導き出した衝撃の事実を伝えに総理大臣ら政府の高官や学者の前に立つ先生。その額には絆創膏が貼られておりパソコンとの闘いがいかに激しいものだったかがうかがえます。

そして、あと一年も経たずに日本が海の藻屑になると伝えるのですが…そんなことは信じられないとその場にいた別の学者に嘲笑され先生はブチギレます。

そして、揉みくちゃに…本当に揉みくちゃになりながらも一所懸命に日本の危機を訴え、めでたくその場からつまみ出されて先生のご乱心は終わります。


前述した田所先生のご乱心シーンを何度も観てしまった私。ここだけでも今作を観る価値は十分にあります。本当に先生、最高ですッッ!

【最後に】
1973年版と2006年版の『日本沈没』を観比べた結果、全然テイストは違いましたが1973年は熱血潜水艇乗り小野寺さん、2006年には武闘派学者田所先生という素晴らしい強烈なキャラクターがいました。

今後も観くらレビューやってこうと思います。楽しかった!!
バルバワ

バルバワ