このレビューはネタバレを含みます
富山チューリップテレビによる政務活動費不正受給追及報道の顛末のドキュメンタリー。チラシの建物は市庁舎だったとは。随分尖ったデザイン。
扇情的でなく淡々としており、信頼性を感じさせる編集。辞任した議員たちについて、最初の数人は経緯を詳細に、後は簡略的に扱っていましたが、そのバランスもよかったです。
次から次に発覚する不正、立て続けの議長辞任などは、もはやコメディのようで笑ってしまいました。その不正の内容や釈明なども余りにもお粗末で老獪さなど微塵もなく、役所の対応と合わせて、田舎のタヌキ親父と木っ端役人という表現がぴったりでした。
玄関先でのタヌキの置物のアップのカットは最高。しかしこれが自分の地元であったら笑えるはずもなく、これだけの問題を暴き出した取材班が素晴らしい。
ラストの唐突な異動と退職の様子は、意思表明として限界だったのかとも思うのですが、やはりもう一つ踏み込んで欲しかった。組織防衛の論理に例外はありえないとの、監督たちからのメッセージだったのかもしれません。
富山の風景も美しく、取材陣の渾身の作と思えるような、色々なものがこもった作品でした。