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闘ふ男
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『闘ふ男』に投稿された感想・評価

mojo
3.2
「馬鹿は死ななきゃ治らない」は廣澤虎造の十八番。お涙頂戴がお得意の浪花節に乗せて物語を描く、ある意味では日本風ミュージカルともいえる作品。戦時下の映画だけに、召集令状が届くことをどこか晴れがましく描いているが、今見ると、どうしても哀しい物語としか受け取れない。映画好きなら言わずもがなだが、戦争は絶対に反対です。
3.6
日本映画専門チャンネルの蔵出し名画座にて鑑賞。

石田民三の「花つみ日記」「昔のうた」「花ちりぬ」の三作がいずれも傑作だったので期待したけど、これは残念。
随所に石田民三らしい叙情的な演出と見事な構図はみられているけど、ストーリーがゆるゆる過ぎ。
そもそもタイトルの「闘ふ男」って言うところからして羊頭狗肉。
岡譲二がまたまた同じ北海道出身の花井蘭子の曲馬団に売られ?ていた弟を助ける時に地回りのヤクザみたいな連中と乱闘するくらい、しかも中途半端に描いている。そのくらいで、なんだかんだと花井蘭子と話しているうちに、郷里を飛び出て放浪生活をしていたことを反省、地元に帰ったら、たまたま召集礼状が来てて「親不孝な俺でもこれで国のために働ける」と喜ぶというもの。国策だったんだろうけど無理やり過ぎ。

ただ岡譲二の弟分で浪曲師の広沢虎造が渋い喉を披露している、その浪曲を聴けるところと、戦前の銀座・日本橋界隈や曲馬団、北海道野幌の雄大な景色が見れるという資料的価値は高い。
「花つみ日記」に出ていた清水美佐子が今作では岡譲二の妹として登場、とてもかわいいのも救い。
すえ
4.8
記録

【浪曲】

フィルムで。35mm。

石田民三は初だが、記憶されるべき監督であり発見が遅れたことを恥じなければ。素晴らしい抒情性に溢れており、浪曲と空ショット(母の死を知った直後の空への主観ショットや、窓外の降雨への眼差し)の融合が独得のリリシズム湛える世界を構築している。

しかし抒情に拘泥することはなく、冒頭のカーチェイスに代表されるように運動への嗅覚も鋭敏であるといえる(活劇を撮るということではない)。殊にチェイスには目を瞠る。追う/追われるのモンタージュのみに頼るのではなく、側部から同一フレーム内に疾走する車両を捉えた上、更には背後からのショットで警察を登場させる。この感覚はどこからだろうか、犯罪映画よりもスラップスティックの感触に近い気もする。乱闘シーンを異質な距離のキャメラで捉える感覚も独得で面白い。

各ショットもかなり良いが、特に会話におけるデクパージュが突出している。序盤のカフェ内の会話が妙で、喫煙の動作を含めたアクションが驚くほど滑らかにつながれ、それだけでなく単なる切り返しに落ち着くことのない種々のキャメラポジションで構築されている。正確に数えてはいないがおそらく4,5箇所の位置があり、それらが流麗に繋がるのでキャメラが何台もあるようにすら感じる。その傾向は、顕著なカフェの場面だけでなく、あらゆる会話において意識されているといっていい。寧ろそれに対比されるような形で普通の切り返しが活用されているように思う(再開や出逢いの場面において)。

そこまで強くないが田舎/都会という主題はムルナウを想起させ、また田舎へ移行したあたりからロングショットの感覚が究極的に冴え渡る。往年の巨匠の画面と比肩する強度で、それこそ一部グリフィス的であるとすら思った。浪曲を披露している劇場を上昇・横移動・下降するキャメラの動きも忘れられない、非常に高度な長回しだった。

徴兵に対する肯定的なリアクションは批判の余地があるが、当時の背景を推測するに避けがたいことではあるかとも思う。都合良く出逢いが起こるこの純然な映画を素朴に楽しむことが、何よりの幸福ではないだろうか。

2026,56本目(劇場47本目)4/12 国立映画アーカイブ

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