なんかタイトルが世にも奇妙な物語のそれっぽくない?ってことで視聴。トルコ映画ですって、なかなかお目にかかれないレアな作品の予感。
■あらすじぃ!
主人公のメフメットは団地の管理人。団地に政府の放送が届くように電波を設置したはいいもののぞの黒い液体が団地と住民たちを侵食し出しちゃって一体どうなってるの!?右往左往しながら真相をつかもうとしていたら衝撃の真実にたどり着いちゃって…メフメットの運命や、いかに!
予告で黒い液体に触った主人公の掌から電線(ジャックって言うのかな?)が現れて体中からも電線がバリバリ出ちゃってるの見て、世にも奇妙な物語じゃねえか…って興味そそられたのよね。
団地とは言うものの日本のとはだいぶ違って割と綺麗で一棟がかなりデカい。今どきはURだなんだで日本の団地も捨てたもんじゃないのかもだけど、私の記憶の中の団地は寂れたイメージ。この映画も建物自体はそんなにボロ臭くないんだけど、立地がかなり寂れてる。買い出しとかだいぶ不便そうな、何も無い場所。
序盤はいかにここが寂れた街で未来もなくつまらないかが語られている感じ。アンテナを建物に取り付けたことで各ご家庭に色々と起こりはするものの怖さはまだない。
けど、1人目の侵蝕者が出るときの描かれ方、ちゃんと怖い。ライティングもそうだけど家の壁紙や床、水に溶け込んでいく黒い液体、白いパックや肉に染み込む黒などなど、まさに"侵食"って感じがして上手いなぁって思った。
これがもし大都会でニギニギした環境下での侵食だったらもっとコミカルでパニック!って大衆向けな映画になったんだろうけど、まるで真逆なのでゆっくりじわじわと得体の知れない何かに蝕まれてた行く感じが世界観にとても合ってた。
海外作品にありがちな、突然大きな音を立ててビックリさせたり、謎の悪魔が出てきたり、魔女がどうのこうのと言ったのとは真逆で、日本ホラーに近しい怖さがある。じわじわと真綿で首を絞められるような感覚をあじわえるタイプのホラーが好きな人は好きかもしれない。
それだけに、「結局なんだったの?」ってラストになりそうな雰囲気もあったので、私はそれに一番ソワソワハラハラしてしまった。途中ちょっとSFになりそうな描写があったからだいぶ怪しんでしまった。
主人公が「ここぞ!驚くシーン!」って所で一言も声を挙げずに後ずさりするだけなの、逆に冷静すぎて笑ってしまうレベルだった。もう少し声上げても良くないか?汗ダラダラかいて目は見開いているものの躊躇わずに前に進むし、さては主人公最強だな???
終盤、のっぺら人間だらけなの怖いはずなのにじゃがいも人間に見えてしまって笑ってしまった。主人公と同じくメインどころの若い女性もじゃがいも人間とエンカウントしても決して叫ばないの、凄い。
なんとなくだけど、風刺映画とか、なにかに対する批判を含めた映画だったのかなと思った。政府だの、国民の忠誠心だの、抵抗組織だのといった国が独裁したい様子がうかがえたので。トルコの過去か現在か、全く私には知識ないので予想しか出来ないけど、何かに対する反骨精神な映画だったのかもしれない。
全然違ったらだいぶ恥ずかしい。
映画の中を生きる人は閉塞的で不条理で救いのない世界にいるんだけど、観ているこちらも常にソワソワするし圧迫感あるしで、メンタル的に追い込まれていく追体験できた。しゅごい。
ジワジワ系なので大きく話が転換したり話の強弱といった点ではかなり弱いので、人によっては「なんだったんだ?」ってなりそう。私は雰囲気嫌いじゃないので見れたけど「一体なんだったんや…」感は否めなかった。
じゃがいもエンドだった。(?)