サラリーマン岡崎

アイダよ、何処へ?のサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)
4.3
主人公アイダは自己中心的に動いているようにも見える。
背景を外せば、少しイライラするのも確か。
演出としてもそういう風に見せていると思う。
でも、自己中心的になるのもしょうがない、そのような環境であるのだから。
それも演出から見て取れる。

国連の安全な場所があるのに家族はそこに入れない、
国連のその場所にもセルビア軍が入ってくる、
セルビア軍が国連の場所に入れなかった人をバスで安全な場所に移動させるが虐殺を行っているかもしれない、
その事実を知っているのに、何も動かない国連、
そんな環境の中、家族を守ろうと自己中心的になるのは当たり前だ。

アイダも含め、戦争と自己との戦いを描いている映画だった。
戦争は国のため、国民のための正義を背負うことかもしれないが、
正義だけでは人間はやっていけない、心があるから。
アイダも家族を守るために、エゴイズムをむき出しにする。
国連の職員も、本部から丸投げをされ、面倒さが現れてしまう。
人は正義だけではやっていけない。
戦争の中でただでさえギスギスした中で、そんな建前意味がない。
戦争映画でこんな人間のエゴをテーマにした映画はあまりなく、フレッシュだ。リアルだからこそ、納得度が増す。

ラストシーン、なんとも言えない。なんとも言えないよ。