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フェイフェイと月の冒険のこぼちゃんのレビュー・感想・評価

フェイフェイと月の冒険(2020年製作の映画)
4.0
監督 グレン・キーン、ジョン・カース、脚本 オードリー・ウェルズ。母を病気で亡くし第二の母を迎える、月餅売りの家族、娘と父の物語。米中共同制作3Dアニメーション。

配信先が決まった2018年、作者のウェルズは長年のがんで死亡。「娘と夫へのラブレター」として「誰かを失ったとしても、その人と共有した愛は永遠に続く」という、娘へのメッセージが込められている。

幼い頃に亡き母親から聞いた「月の女神」の伝説を信じている13才の少女フェイフェイは、月の女神の存在を証明するため自作の宇宙船で月へと旅立つ。そこで彼女は、憧れていた月の女神・チャンウー(嫦娥)と不思議な生物、そして思いがけない冒険に遭遇することになる。

水路に近い中国の街並みが、とても賑やかで綺麗。水郷地帯の枝垂れ柳や花、家族で美味しい月餅を作り、自転車で月餅を配達する主人公が活き活き。主人公の飼っている白兎が表情豊かでとても可愛い。

新しい家族となりそうな、女性と子供を受け入れられないフェイフェイ。夢は、亡くなった母から聞いた、大好きな月の女神、チャンウーに会うこと。女神は王国ルナリアに住んでオリ、恋人ホウイーとの再会。

何とかロケットを作り上げ、月にたどり着くフェイフェイ。まるで、テイラー・スウィフトのように、歌いパフォーマンスしている、憧れの女神。でも、月の女神にも、寂しい理由があった。

中国の街並みや月の女神は、豪華な色彩だったが、他の月の生き物たちがパステル色の絵で、ちょっと迫力が足りない感はあった。でも、少しずつ、新しい家庭になじもうとする処はいい。

実際の脚本家の娘や夫へのラブレター。日本の映画『湯を沸かすほどの熱い愛』(宮沢りえ主演)のように、残る家族たちが力を合わせて生きていれるように、娘がやさぐれたり、涙を流さないように、映画として残したかったんだろうなと思う。

辛い時は、いつも、月を見れば、母の話した女神や二匹のウサギ(一匹は主人公が飼っていたウサギ、月で恋に落ちる)がいる。色々な事情で、片親だったり、両親がいなくなった子供たちにも、素敵な月が微笑んでくれたり、美味しい月餅やお菓子、新しい家族に出会えますように。
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