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整形水のkuuのレビュー・感想・評価

整形水(2020年製作の映画)
3.6
『整形水』
原題 기기괴괴 성형수/Beauty Water.
映倫区分 PG12。
製作年 2020年。上映時間 85分。

韓国発のオムニバスコミック『奇々怪々』の1編『整形水』をアニメーション映画化し、美しくなりたいという人間の果てなき欲望と狂気を描いた韓国産サイコホラー。
韓国で実写化なりそうな予感※あくまでも予感です。
日本ではして欲しくないなぁ。

人気タレントのメイクを担当しているイェジは、幼少時から自分の外見に強いコンプレックスを抱えていた。
タレントからは罵倒され、偶然から出演したテレビ番組では悪意ある書き込みをされ、自暴自棄に陥っちまう。
そんなイェジのもとに、巷で噂になっている『整形水』が届く。
それは、顔を浸すだけで思い通りの容姿に変わることができ、後遺症も副作用もない奇跡の水だという。
美しくなって新しい人生を歩むべく整形水を試すイェジだったが、しばらくすると周囲で不審な出来事が起こるようになり。。。

タイトルの
기기괴괴 성형수
は奇々怪々整形水ってことやそうですが。
ならそのまま『奇々怪々整形水』の方が昭和臭いホラータイトルなんやけどなぁと思いつつ鑑賞スタート。
今作品は器量のない女子が、謎の美容液『整形水』によって綺麗になりスターに変身するちゅうストーリー。
まず、顔だけが綺麗になった時(体は肉肉しい)なんかデブ専のアニメ(CGI)みたいやった。
(エロアニメ見たことないのであくまでも想像しました🙇‍♂️エロ漫画はあるんやけど。。。)
もちろん、これは、物語のアニメなんで最終的にうまくはずもなく、身体改造専のサイコもプロットに関与してくる。
アニメちゅうジャンルの中では変わった感じを受けたかな。
また、ボディホラーとしても、初期のデヴィッド・クローネンバーグとか『女虐』(1996年)の佐藤寿保の影響を受けてんのかな。
暴力、血みどろ、ヌードが含まれているので、子供向けではないことはたしかやし、その点は十二分に留意してください。
アニメーションはほとんど3Dで、
ネガティブで暴力的なビジュアルと、肉体美、強欲、消費主義についての適切なメッセージが密接に関係している点では、全体的には実に興味深いアニメ・スリラーでした。
徒然にワケわからんこと書きつらねますが、
今作品を見終え、アイデアと云う言葉の語源『イデア』をふと思い出しましました。
イデアは、存在の
『真実の姿』 
を示す言葉やったかな。 
うろ覚えですいません🙇‍♂️
現代の日本人なら美しいと呼び声高き桜が目の前にあったとします。
その桜は実は、パッチもん(偽物)の姿で、イデアにあるマブ(本物)の桜のコピーでしかない、ちゅうのがプラトンやったかの思想です。
あったとします、と読んだ時点で頭に描いてるはずの桜。
また、現実の桜は、なぜパッチもんなんかてのは、プラトンってオッサン曰く、 やがて朽ちて消滅する不完全なモンやからだそうで。
イデアにある永遠不滅の桜の劣化コピーだから朽ちてしまうって。
もう一丁例えをあげますが、『クイズ!ヘキサゴンII』ってクイズ番組あったヘキサゴンは五角形、それを紙に鉛筆で描くとします。
って難しい。。。
取り敢えず、四角形にするかな。
四角形を描いたとしやす。
そのとき、かすかな歪みが生じま。
不完全な四角形です。
写し取る身体機能も不完全であれば、紙自体もいずれポロポロになって消滅しちゃう。
すべてが不完全な世界にいながら、なんで人は頭ん中やと、完全な四角形、つまり『イデア』の四角形を思い浮かべることができるんやろか。
プラトンが書きよった
『パイドン』
の中に出てくるソクラテスってジジイは、魂の不滅について語った後に、
オボンコボン、ゴホン(偉そうなジジイがする咳払い風。小生加筆🙇‍♂️)人間の魂は、どないな魂でも、生まれながらにして、真実 (イデア)を観てきとる。
≪中略≫
せやけどやで、この世のモンを手がかりとして、かの世界なる真実在(イデア) を想い起すちゅうことは、必ずしもすべての魂にとって容易なわけやない。
ある魂たちは、かの世界の存在 (イデアにあるもの) を見たときに、 それをわずかの間しか目にしなかったし、またある魂たちは、この世に墜ちてから、悪しき運命にめぐり合わせたために、ある種の交わりによって、道をふみ外して正しからざることへ向井理じゃない向い、昔し見た諸々の聖なるものを忘れてしまうからなんや。
そう云うわけで、結局南極、その記憶をたくさん持っている魂はと云えば、ほんのチビっと(少し)しか残らない
と書いてる。
まさしく今作品の主人公。
つまり魂の段階で 『イデア』を見たことがあっために、この現実界に生まれてきた後も、完全な四角つまり 『イデア』を想い出すことができる。
魂の時に、より多く『イデア』てのを目にしていた者、また生を受けてからも真・善・美を追求し続けた者が、より多くの『イデア』を想い出すことができるんや、とジジイは述べてます。
最もイデアに近づいた者が、 最も偉大な者であると。  
目に見える桜や可愛らしいワンちゃんなどの生物、宝石や荘厳な建築などの物質だけでなく、正しさや美しさなどの目には見えない対象にも『イデア』はある。
そこで『美』はイデアを通じてどないなように考えられるんか、
またまた、プラトンが記した 『パイドン』の中ですが、鉄人ルー・テーズじゃない、哲人ソクラテスのジジイはこう述べてます。
美の話に戻そうかなぁ。
さっきに云ったように、 美とは、諸々の実在(イデア) とともにかの世界にあるとき、燦然と輝いていたし、 また、我々がこの世界にやって来てからも、我々は、わ我々の持っているも鮮明な知覚を通じて、最も鮮明に輝いている姿のままに、とらえることになった。
(我々が多いなぁ🙇‍♂️)
ちゅうのは、我々にとって知覚こそは、肉体を介してうけとる知覚の中で、 いちばん鋭いモンであるから。
思慮は、この視覚によって目にはとらえられない。
もしも、思慮が、 何か美の場合と同じような、視覚に訴える自己自身の鮮明な映像を我々に提供したとしたら、おそろしいほどの恋心をかり立てたことであろう。
忘れない🎵恋心~ぅ
そのほか、魂の愛を呼ぶべきさまざまの性についても同様である。
しかしながら、実際には美のみが、ただ一人、美のみが、最もあきらかにその姿を顕わし、最もつよく恋心をヒクソングレーシーじゃない惹くという、この宿命を分け与えられたのや。
と述べたそうな。
魂の状態の時に見ていた輝かしい 『イデア』の世界は、 肉体を持った現実の世界でも『美』を通じて知覚することができると云っとります。
『美』は『イデア』へと繋がる梯子なんです。
上記の『恋心』ちゅう言葉は、文字通りの『恋』を表すとともに『イデア』への憧れてをも含んでます。
『イデア』に近づけば近づくほど、 すぐれた人間であるとソクラテスは云ってます。
扨、このジジイ、ソクラテスが誰に向かって、こないなことを云っとんのか。
まぁどうでもいい事を書いてるついでに、
相手は書名の通り『パイドン』西郷隆盛はオイドン、『ツムツム』ならうさぎどん。
『パイドン』。。。
バイドン←バで❌、パイドンでした。
パイドンは、非常に美しい青年やったと云われてます。
生殖行為という本能を超えた愛 (プラトニックラブ)は男同士でなければ成り立たない、とされていた時代です。
(プラトニックラブのプラトンから来てい ます)
哲学者は若い青年の美を祝福し、青年は哲学者から叡知を得る。
実は上記のソクラテスの言葉には、パイドンに対する求愛の側面がある。
自分はイデアに近い存在であり、故に優れた存在なんやとパイドンを口説いている。
さらにソクラテスは
愛する者は愛される者より一層
『神(イデア)』に近いと云う。
愛される者の中に神はいないのに、愛する者の中には神がいるからやそうです。
今作品の変身後の主人公が美しいのは『イデア』にあずかっているから。
しかし、彼女も『整形水』の効力や、年老いていくにしたがって、必ず美から遠ざかっていくし、真・善・美を追求し続けることを怠った。
イデアとの繋がりが不十分であるために美は失われる。
地上にある全ての美はいずれ滅びるけど、 イデアにある美は失われることはない。
この永遠不滅の『イデア』を求めることが、人生でも尊いことだ、ちゅうのがプラトンの考え。
小生が思うに器量の佳し悪しは、顔かたち、みめではなく、才能と徳をより精進した者が体得するモンなんやろなぁとは思います。
桑田真澄の息子さんMattとか見てたら、顔かたち、みめの追求は果てしないし、十分なんちゃうんかと、小生が書くのはオヤジなんやろなぁと思う今日この頃でした。

『一切の生は一つの中心からわき起こる。
やがて芽ぐみそして内から外へと咲き開く。
同じように、美しい彫刻には、いつでも一つの強い内の衝動を感じる』───『ロダンの言葉』(高村光太郎訳)
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