こうん

65/シックスティ・ファイブのこうんのレビュー・感想・評価

3.9
予告編観て「なんでアダム・ドライバーがこんな安い感じのSF映画に」と思ってその謎を解くべく観に行ってきました。
ま、アダム・ドライバーが恐竜と闘うってだけで値千金ですよ。それにあらすじが安いからって面白くないと思うのは早計であるし。
「地球に帰投中の貨物船が救難信号を受信してレスキューに向かった植民地惑星で未知の最強生物に襲われる!」…安いあらすじでもSFホラーの金字塔は誕生するかもしれないわけで。

と意識高めに観に行ってきましたけど、ま、愛すべき普通のSFアドベンチャー映画でしたよ。

「猿の惑星」みたいなことかと思ってたら、映画が始まってすぐに、アダム・ドライバーは地球人ではなくどこかの地球型の惑星人(といっても念動力が使えたり目からビームが出たり体が伸びたりするわけではない、ほぼ人間)であることが示され、難病の娘のために高報酬の宇宙探査の旅に出たら事故って見知らぬ惑星に不時着したらそこはユカタン半島に巨大隕石が落ちる直前の地球でした、というストーリー。

ま、恐竜が跋扈する白亜紀に人間がいたら?という妄想をストーリーに落とし込む為のセッティングですよね。あたいも考えたことある~。

難病の娘というのもアダム・ドライバーに葛藤を与えるためだし、なぜか同乗していた言語の違う少女とサバイブすることになるのもドラマの為でもあるし(なんで同乗してるの知らないの)、サスペンスやアドベンチャーの強度を上げるため。

わりかしそういう雑な映画なんですけど、ちゃんと真面目に作ってあるし、低予算なりの工夫がされていて、あと「アダム・ドライバーの胸筋でっかい」という楽しみ方もできるので、ラフに楽しかったです。短いし。
そもそもぜんぜん違う星系からの人(そもそも人間ではない)なのに英語喋ってるのからして変なんだけど、普通に水見て「water」とか言ってるのが妙に笑えました。あんたのその言語、6500万年後には通じるよ!ロープを使おうつって出すのが本当にアマゾンで買ったようなロープだし。

ただまぁやっぱりそこは、アダム・ドライバー力で魅せてしまうというか、映画の求心力になっていましたね。身体がデカいから身体能力に長けてるのかしらとは思うけど、そこはけっこう普通で、むしろ体デカいので洞窟の中で動けなくなったり登った木から落ちて脱臼したりするし、イチ人間として(人間ではないってば)このSFサバイバル映画の中に存在していて、地に足付いた感情を置きに行ってくれてましたよ。

あと、予算の都合だと思うけど、そんなにわっさわっさ恐竜は出てこなくて、ここぞという箇所でジョーズ的にサスペンスとショックを演出して「うがー」となっていました。最低限、翼竜も鎧竜も橋脚類もそして王様Tレックスも効果的に出てきます。
おまけにでっかい隕石が落ちてくるディープインパクト描写もあるので、これいじょうおまえはなにをのぞむのか?

個人的にはアダム・ドライバーと同行するコアちゃんの寝ている間に口の中に入っちゃう寄生虫みたいなのがよかったですね。すぐ退治するしそれだけなんですけど「白亜紀こわッ」となります。

そしてなぜアダム・ドライバーがこの映画に出演したのか?「たまにはなか卯の牛すき丼食べたいよね」ということではないかと思います。
(わかんないけどたぶんサム・ライミと仕事したかったんだのじゃないですかね)
こうん

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