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キャッシュトラックのbackpackerのレビュー・感想・評価

キャッシュトラック(2021年製作の映画)
4.0
大変にお上品な映画で、ヨダレが滴りそうになりました。

リメイク基作品『ブルー・レクイエム』は未鑑賞ですが、「ジェイソン・ステイサムがガイ・リッチーと組む」という在りし日の黄金時代を想起させるネームバリューが魔性の訴求力を垂れ流し、私を劇場へと駆り立てるのです……。

さてさて、ここ数ヶ月繰り返しトレイラー映像各種を見ていたわけですが、果たしてどんな映画かな?と期待に胸を膨らませて鑑賞し……うーん、実に最高。

口数少なく、容赦無し。これぞ僕らのステイサム!
英国ハゲ紳士界当代随一のアクションスター・ステイサム!!
無口な男の内なる怒りが、冷徹な弾丸となって銃口から解き放たれる時、圧倒的なバイオレンスへと昇華する!
今回は、しなやかに鍛え上げられた肉体美がスクリーンを彩ることはありませんでしたが(半裸のベッドシーン(事後)が一回あるだけ)、それでOK無問題。終始抑圧された演技の中で、オープンに脱ぎまくったりしたら意味がありませんよね。


『悪霊』『しらみつぶし』『野獣ども』『肝臓、肺、脾臓、心臓』
という4章構成で、過去と現在が巧みに絡み合い、描かれた出来事を忘れずにキャッチアップしつつ、根本的謎や疑問は敢えて放置。
うーん、実に面白い。

復讐鬼となったステイサムは終始物静かで、ポーカーフェイスを崩しません。しかし、その目の奥底で煮えたぎる怒りは殺気と化し、冷凍光線の如く振り撒かれます。
鋭く研ぎ澄まされたナイフのようなその眼差しが自らを捉えた時には、射竦められ、たじろぐ以外できません。
うーん、実に素晴らしい。

個人的には、"ケネディ弟顔"のジェフリー・ドノヴァンが出演していたのも嬉しいポイント。高校生の頃ドラマ『バーン・ノーティス』シリーズが大好きでよく見てたので、彼がスクリーンに現れると、旧友と再開したような感覚になります。
ホントにちょい役ながらアンディ・ガルシアも出演してますし、敵役にはスコット・イーストウッド(どんどんお父さんに似てきた気がする……)、こいつ絶対裏切るだろ……なホルト・マッキャラニーやジョシュ・ハートネットまで。
自分の好きなバイプレイヤーが山ほど出るなんて。
うーん、実に文句なし。

欲望と悪意の渦巻く現金輸送の現場に、幽鬼の如く降臨した、いぶし銀な恐怖の大王ジェイソン・ステイサム。
自分の色を抑えたガイ・リッチー監督の手腕も光る傑作ですので、皆さん是非ご鑑賞ください!

勿論、午後ロードにやってくるまで待つのもあり!笑
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